最高のKPI

さて、久々ブログを書きますが、手垢にまみれた論点です。
 
KPI(key performance indicator)について。
 
この言葉が流行ってだいぶ経ちますが、
今でも色々な所で聞きます。行政が導入するとか。
なので、気分発散まで、綴ってみます。

私自身、コンサル時代扱うことも多かったし、
その後企業の経営、自営 で色々経験してきて、
つまるところ、とても重要なKPIは一つ。
 
そして、とても汎用性があるKPIです。
 
前触れ、大風呂敷ですが、そんな意外な話でもないですし、
さくっと終わる内容です。
 
最重要なKPI、それは、
 
入金(売上)の瞬間に、払ってくれる相手が、「この値段なら嬉しい」と思っているか。
 
です。
 
一般的な商売なら、販売の時点で、お客様が払う時の本当の気持ち。
行政なら、税金が確定し、振り込まれる瞬間。
給与をもらう個人なら、自分の給与を経営者が払う瞬間。
 
この時の、払う側の気持ち。 これが何より最重要なKPI。
 
「ありがたいな」なら、発展拡大します。
「高いな、いやだな」なら、衰退します。
 
そして、重要なのは、これを如何に確からしく測り、組織として常に意識出来るか。
 
この手法は、いろいろと有るでしょうが、日々お客さんに対峙している業界が、創意工夫が進んでいると思います。
 
以上。 さくっとおしまい

効率とは、つまるところ「信頼」

海外で仕事をしていると、思うように「効率的に」進まない事も多く、
あらためて日本の良さは、いろいろ確認しなくても、社会がちゃんと回っているところにあるなーと思います。
 
例えば、Notarisという、「公証人」という制度があって、
日本だとたいしてなじみがないかもしれませんが、
要は、「社会的信用がある人」が、「この書類、確かに私=公証人の前で当人がサイン/捺印しましたよ」とお墨付きしてくれるというサービスです。 

日本でも遺言の信頼性確保の為に使われたりしています。

インドネシアだと、そこいらじゅうに「Notaris」事務所があり、契約書類は基本「Notarisの公証」が求められます。

はっきしいってめんどくさいですが、それだけ偽造でもめたり、とあるのでしょう。
 
日本は、いろいろな理由で、「基本みんなまじめ」という信用があります。
いろいろと疑ってかかったり、ダブルチェックする手間をかけなかったりしている社会で、それこそが「効率」の源泉なんだと思います。
 
究極、「この村は、誰も鍵なんかかけないよー」というようなことも、あったり。 鍵かける手間も要らないなんて、超効率的!
 
ちなみに、「効率」というと、「最適化」みたいな、Big dataでoptimizationとか、そんなことな雰囲気がある気がします。
それはそれで、面白い事は起きるのかもしれませんが、「社会の効率」という観点でいうと、ちょっと違うのかなと。
 
やはり、みんながまじめで、且つ、ちょっと守備範囲を広めに、まわりと重なるぐらいにとっている責任感がある。
そんなことが本当の効率の源泉なんだと思います。
 
日本車が競争力があるのも、部門の垣根を越えて一定の「信頼(仲間意識)」があるからでしょう。
デザイン―開発―生産―マーケ―販売が、「他の部門がちゃんと仕事しないから、じぶんとこが割喰ってる」と思うのでなく、「それぞれが持ち場がんばっているから自分もがんばる」というのが効いてるのでしょう。
これは、国際基準から行って、とても希有に日本が優れている所だと思います。
 
しかし、  しかししかし。
 
最近、こういう、日本の「コアヴァリュー」といってもいいような事が崩れてきている気がします。
 
大銀行の行員が詐欺を起こしたりすると、さらに銀行業務は非効率になり、ひいては利用者にとってコストが高くなりますね。
 
政府も、これだけ財政赤字があると信用されず、徴税・年金回収効率なども下がって行くことでしょう。

電鉄会社が、公共心を忘れ駅を使いにくくしつつ目先の利益を追うし、通信・ネットサービスなども既に公共インフラなレベルなハズなのに、未だにバンドリングして利用者に不便・不自由をかけても自社で囲い込もうとする。 などなど。
 
一隅を照らすこれ則ち国宝なり

改めて胸に刻みつつ、そういう社会を(小さいコミュニティーでもいいから)一つ一つ作って行きたいものです

中国で農業をして分かった事〜農地設立編 —                 国家権力/ゾーニング/墾田永年私財法など

まず前提として、我々上海では、現地の企業(日本への青果物を輸出する企業等が、上海の富裕層向け宅配事業を展開)とパートナーというか、我々が生産委託を受ける形で、立ち上げから関わって運営しています。
 
そこで実際に農場を立ち上げる中で感じた事で、今回は、「農地をどう作るか」に関わる事を書きたいと思います。
 
我々が展開する場所は、上海隣接の場所(上海行政府ではなく、隣の行政府)なのですが、政府が政策的に農業産業を振興しようとしているようです。
上海からほど近いにも関わらず、5ヘクタールのハウス、10ヘクタール程の露地畑が一区画であり、土木造成、ハウス建設はほぼ政府の負担で行われたようです。
 
日本でも、農地の集約化が必要と言われていますが、土地所有者がバラバラで手放さない為、全く進みません。
中国は、そういうことがガンガン進むということは言えると思います。
そういう場所で実際にやってみて、いろいろと感じた事があります。
 
まず、驚いたのが、畑の一部からごろごろと煉瓦やコンクリートの塊とか服などのゴミが出てくる事です。
 
そして、今組んでいる、運営事業者は、その土地が元々、誰が住んでいて、どこが元々どんな農地だったとか、埋め立てたとか、家を取り壊した所なのかとか知らないという状態です。
行政から、ぽんと託された感じ。
 
なので、「元々家があったらしく、取り壊し後の掃除が行き届いていないっぽい」場所からそういう物がゴロゴロ出てくる訳です。 
 
で、驚いたのが、農場の一部に建物を建てると、政府が衛星でちゃんとチェックしていて、
「農場として渡したのに、なに建物建てているんだ!」といってチェックが入ります。 (まあ、限られた面積に農業用資材庫を建てたりとかなので、問題無いのですが)
なので、これまた日本で話題の「ゾーニング(注1)」もしっかりされている訳です。
 
ガチでゾーニングされているし、畑が団地化されていくので、農業の産業化、競争力向上は、やはり進みが早いのは間違いありません。 
そして、かなり強権的だなとも思いますが、中国の行政がそういうことができるのも、経済成長の為、産業作りのために、正しい手を打って、成果を出しているからだというのは肌感覚で分かりました。
 
元々ここに住んでいた人が、いまどうしているのかなー、広い新興マンションを貰ったのかなー、といろいろ想像します。
元々住んでいた人、土地を守って来た人が、よかったと思えるようにしたいなあと思います。いい畑を作るべく頑張ります。

また、国がリーダーシップを発揮するには、やはり経済成長という結果を出し続ける事が不可欠なんだなあ(特に途上国においては)と改めて感じます。こちらの行政の人も、大変だなあ、そして優秀なんだろうなあと。

ちょっと話が変わりますが、煉瓦やコンクリ拾いをしていて(重い!大変)、思うのが、墾田永年私財法ってすごいな、ということです。
 
日本人のメンタリティーを作った、大きな要因なんだろうな、と。
自分で開墾して田畑を守ったら、それはあなたの所有物ですよ、と。
 
日本人の上の層だけでなく全体的に真面目であり、自責的なところは、こういうところに根っこがあるのではないかと。 
そして、時の権力者が、こういう判断を出来るのもすごいな、と。そっちもそっちで日本らしいなと。神輿は軽い方がいい的な、ふわっとした、変な欲が少なく懐の深いリーダーだったのだろうなあと。

この辺が日本の強さの原点な気がしますし、海外ととても違う文化だなあと改めて思いました。
 
しかし日本の農政も、墾田永年私財法に立ち返ったぐらいの深さの議論が必要かもしれません。農地解放の功罪についても、もちろん向き合う必要があるでしょう。

 
 
(注1)ゾーニングとは、農地と宅地等農地以外をしっかりと地区で区分をやりきることです。日本では農地がどんどん宅地転用されて値上がりし、農家が変な「転用待ち」したり、一部転用されたら地主みたいになっちゃって本気の専業農家が生まれにくいという問題があるので、今の農地を「これからずっと農地であり、転用は金輪際認めない!」となればいいのでは?という議論があります。(が、もちろん既得権益が強過ぎて、政治的には通らないでしょう)

りんごの輸出をしてみて分かった事/思った事


 
今回、フィリピンにりんごを輸出してみました。
 
私の会社は、日本の農家と東南アジアの現地で高品質な農業生産を立ち上げる事業をメインとしており、
フィリピンにも農場を出したいと以前から考えていました。
(実際に次の冬には開始したい!仲間募集中です)
 
また、長野に引っ越して農業を始めて4年目になりますが、
りんご農家との繋がりもでき、リンゴの個人向け販売などを行う中で、
りんごは商品としては、とても魅力があると思っていました。
 
一方で、日本国内の消費は高齢化と共にドンドン減って行きそうな雰囲気
「木」で作る、せっかくのリンゴ畑のインフラどうなっちゃうの!?
と思っていました。
 
そんななか、地元の銀行さんが、フィリピン大手財閥(小売系)と連携するという話を聞き、紹介をお願いして動いてみた、という経緯です。
 
やってみて思ったのは、
 
1. 輸出入って案外敷居低い。「大手商社」とかでなくとも、小規模ベンチャーでも出来る時代になった
 
2. 超高級野菜/果物はニッチビジネスに過ぎず、大規模で競争力ある価格の農業直結じゃないと面白くない。
つまり農業生産段階でも「輸出用大量効率生産」が必要で、今あるものを売るっていう話ではない
 
3. 高品質で競争力ある価格の日本野菜/果物の「企業ブランド」を作る必要(県や品種ではなく) Made by Japanese現地生産も含めて
 
の三つです。
それぞれ補足します


1、 輸出入って案外敷居低い。「大手商社」とかでなくとも、小規模ベンチャーでも出来る時代になった

これが、振り返ってまず実感として感じた事です。
 
実は、元々インドネシアとの取引がいろいろある中で、ある輸入をしようと去年春動いていました。 
最初は、CIFFOBだL/Cだフォワーダーだバンニングだ馴れない言葉が出て来て、素人だと大変かなと思ったのですが、やってみると案外単純な話でした。 
もちろん、いろいろとややこしい事もありますが、輸出入手続き自体は、やってみればやれるなというのが感想です。
 
大切なのは、売り先の海外の出口 或は 輸入であれば海外の仕入れ元とちゃんとコミュニケーションが取れるか、であり、LCCもあり、Skypeなんかもある現在、そんなに高くない販管費で輸出入の段取りができるもんだなと思いました。
 
農家は、ある程度の規模であれば、年間何百トンとかの物量を動かしています。 
コンテナ20フィートであれば、ものにもよりますが10トン足らずの積載になるので、農家の庭先でコンテナに入れて、それをそのまま輸出というのは、これから増えるんだろうなと思いました。
農産物はキロ当りが安いものなので、いろいろ手をかけずに効率的にパッケージング、物流をしないとダメです。
で、それが今日本ではあんまりされていませんが、農業法人の感覚からすると「1コンテナ10トンね、はい出します」という感じで割と自然とできると思います。 
 
まあ、海外の競争力のある産地では当たり前に行われている事なのでしょうけれど。

 
2、 超高級野菜/果物はニッチビジネスに過ぎず、大規模で競争力ある価格の農業直結じゃないと面白くない。
つまり農業生産段階でも「輸出用大量効率生産」が必要で、今あるものを売るっていう話ではない

これまで、「輸出」というと、アラブにスイカがめちゃくちゃ高く売れたとか、「日本の農産物は非常に高品質で評判も高いから、通常品の何倍も高く売れる」という話が出るシーンが多かったと思います。 
実際、フィリピンなど東南アジアのりんごの棚を見ても、通常のりんごが一個100円未満な所が、日本産は一個数百円で売られていたりします。
 
まあ、これはこれでいい事なのですが、ビジネスとして成り立っているのかな?と心配になったりします。
 
高くて、棚回転が悪いということは、原価率も低い(すなわち農家への還元率が低い)ということになります。
量も出ないし、還元率も悪いとなれば、日本の農業へのインパクトは非常に限定的です。
 
私が今回りんごの輸出もやってみようと思ったのは、日本国内のりんご農業が、今後輸出もがんばらないと厳しいと考えたからで、量が出ないと意味がありません。
 
そして、「量を出す」という前提でビジネスを組むといろいろ出来る事があって、実はコストはある程度競争力がある、りんごで言えば中国産やアメリカ産と戦えるレベルに設定できていきます。
 
いろんな鶏と卵みたいな事があるのです。
 
ということで、本気で他の農産国と「同じ土俵で」戦って行く時に必要な事。
それはいくつかあるのですが、「生産段階でコスト競争力をつける」という事も必要です。 
日本の果物野菜は、輸出を考えると明らかに「高コスト、オーバースペック」です。
だから、実際農産物輸出市場では、海外で全く競争力、存在感がありません。
(日本米ならカルフォルニアが、ふじりんごなら中国産が、梨なら韓国産が強いというように)
 
なので、ざっくり言うと、品質8がけ、コスト半分 ぐらいに生産のやり方を変えて、輸出用の作り方をするという事が必要です。
 
今日本向けに作っているものを売る、というのでは難しいです。
余った場合に(値引くので)出す、というのも、そんなワガママは通用しません。売り先に安定供給しなければ売れません。
 
なので、輸出用は「狙って」作る必要を感じます。
このへんは、日本のりんご農家、米農家等と組んで具体的に進めて行こうと思っています。
 
 
3、 高品質で競争力ある価格の日本野菜/果物の「企業ブランド」を作る必要(県や品種ではなく)Made by Japanese現地生産も含めて

今回、りんごを売るにあたって、最も意識したのは「このりんごが日本産です!」というメッセージが消費者に伝わる事です。
なので、日本産という事が分かるポップを作り、シールをりんごに貼り、ということをやりきりました。

一方、フィリピンの野菜/果物の売り場ではばをきかせているのが、DOLEです。 
いろいろなものにDOLEのシールが貼ってあります。
バナナ、マンゴーなどのトロピカルフルーツはもちろん、現地産のブロッコリー、カリフラワーなどの野菜、韓国産の梨、いちごなどの輸入果物等等。 
Doleは「Made by Sunshine」を副題にしているので、伊藤忠が親会社と言っても、あくまで「トロピカル」な雰囲気のブランドかと思います。デルモンテも同様。 サンキストも、柑橘(カリフォルニア中心)なイメージですね。
 
ここで、必要なのは、「日本(人農家)の高品質、安全」を連想させる、ブランドです。トヨタユニクロのような。 
弱小ベンチャーにはなかなか身に余りますが、これを作って行く必要があります(求ム、仲間!)。
 
そして、それは輸出だけでは作れません。 Made by Japaneseの現地生産との合わせ技が必ず必要になります。 今回我々がフィリピン、インドネシアの小売りと商売が出来るのも、made by Japanese in フィリピン/インドネシアへの期待があるからという部分が大きいです。

4月5月になると、最近ではニュージーランド産のりんごもよく日本のスーパーで見かけます。
南半球なので採れたてな訳です。
そしてこれが結構おいしい。
 
このニュージーランドのりんご会社が大きいりんご畑を韓国で仕込み中という話もあります。
もうすぐ韓国産のおいしいりんごが、日本のりんごの収穫期に入ってくる事でしょう。
そして、通年、この企業ブランドで、おいしくて安くて新鮮なりんごとして売られる事でしょう。
こういうのとの競争、が現実なのです。
 
日本の農業は、
 
品質は競争力ある。
 
コスト競争力はない。
 
品質に競争力があるのはとてつもないアドバンテージです。
 
なので、ちゃんと、コスト競争力が無い事と向き合って、コスト競争力をつけて行くことが大切です。 
一部は現地生産で、一部は国内の生産性の飛躍的向上によって。
 
そして、頑張ればそれが出来る。
そんな思いを新たにしたりんご輸出でした。
 
最後になりますが、今回の輸出は、地銀さん、卸さん、輸出入業者さん、そのような方々にバックアップ頂いてこそ成り立ったことでした。 皆さんありがとうございました。

AIとミステリーサークルと

8月も終わってしまいました
 
こんな時期に、夜外でゆっくりしていると、火の玉とか出たら面白いのにな、などと思ってしまう今日この頃です。
 
さて、昨今、人工知能、ロボットとか、2030年代には人工知能が人間より進んじゃって力を持つだろう とか なんだかんだ言われています。
 
一方で、モノから経験に人のニーズが移って行っている、という大きな流れがあります
 
そんななか、ヴァーチャルな小さな籠の中で生きるのではなく、リアルに生きる上で人間が出来る事は何だろう、と思った時、

ふと、「ミステリーサークル的なこと」が、象徴的なんではないか という気がして来ました。

世の中が便利で、人間が制御可能な感じになって来ている中で、人間はどんどん<不思議なコト>に対して非寛容あるいは受容する姿勢を失って来ていると思います。
 
昔は、火の玉だ、狐だ狸だと、割と一般的に「不思議だね」ってなっていたことが、いまはそうなりにくい
 
だからこそ、オモイッきし合理的でも効率的でもないこと
そんなことを、楽しんでやってしまって、<不思議なコト>を増やすような活動は、とても人間の活動らしいし、未来的なんではないかと。
 
なにか、こんなようなことを本気でやってみたいな という気がするので、こっそりなんかやってみます
いくつか案があるのですが、めちゃくちゃ楽しみ。
 
P.S. 念のため、木村は、菌とか土壌とか農法とかそういった、科学的合理的なことでまだ全然分かっていない事を探求する(AIなんかもできれば使って)という気持ちも持っています。 なので「完全に狂ったな」と見切らないで下さいね

続農政について ー 農業競争力強化に効く事、案外効かない事 5つ

農政/日本の農業強化で重要だと思う事、書きました
結構、世の中で言われている事と全然外れています

1、 農協を機能させるなら、「全国統合化」の方向が有効
 
2、 強い農家作りと農協改革や企業参入は、あまり関係ない
 
3、 「6次産業化」は農業強化ではマイナーイシュー
 
4、 関税や生産調整は、実は一理あるので重要論点
 
5、 機能測定やセンシング技術などへの補助金は有効かも
 
以下、より詳しく。
 
1、 農協を機能させるなら、「全国統合化」の方向性が有効
 
これだけ物流が発展し、消費者も旬なものを求めるのでなく、通年全部求める中で、
「県/地域ごと」の卸など、価格決定権を持てず弱い。
僕が農協のオーナーなら、全国統一化&扱い作物ごと軸での組織再編。
世界で強い、DOLE、ゼスプリなどを見ても明らか。
例えばゼスプリは、「ニュージーランドのものいろいろ輸出します」ではなく、
キウィ、リンゴを通年世界に提供します という動きで、韓国などでの生産を強化していると聞きます
一方、日本は海外の小売りで、一部の高級スーパーで狭い「高級リンゴ棚」を県の間で供給バッティングし
ビジネスにならないみたいなこと繰り返しています。
日本も、例えばまず「全日本りんご生産者組合」とか出来ると、少し戦えるようになると思うのですが

2、 農協改革や企業参入は、強い農家作りにあまり関係ない/直接は繋がらない
 
農協改革/企業参入が話題で、これらが強い農業に繋がる的な語られかたがされますが、全然ピンと来ないというお話。
 
そもそも強い農家と農協は接点が少ない(自分で売るし、自分で肥料等直接調達するし)。
なので、簡単に言えば「どうでもいい」関係。農協をどうしようと強い農家への直接的な影響は少ない。
 
一方の「企業参入」。
ちょっと調べれば、企業の農業参入は失敗の歴史。死屍累々。
資本を持てるようになったから、企業が参入して劇的に経営効率が上がるなんて事はないんです
これまで、日本が世界に誇る、一流メーカー数社は生産をやろうとして、基本的に全て失敗、撤退。
大手小売り流通も、農業自体を本業として本気でやっているとは言えない状況で「ポーズ/広報活動」と見た方が正しい状況が多い
 
3、 「6次産業化」は農業強化のマイナーイシュー
 
6次産業化というのは、加工など統合度を高める事。
ただ、通常農業は「加工などされたくない」と思って作るもの。
おいしい野菜、果物を作って、それをそのまま食べて欲しい訳です。
8兆円の農業生産額のうち、加工用に回るのなんて1兆〜2兆ではないでしょうか?
そこをうんぬんするよりも、メインである青果のまま流通する部分を、より「強く」することが本筋。
2次、3次産業側から見ても本気で1次産業を取り込むなんてナンセンス。
カゴメが使うトマトの過半を自分で作ると宣言するか、イオンが自分で過半の野菜を作ると宣言するか、そんな経営判断絶対しないし、経営者としてすべきでない。
出来上がってから市場に並んだ農産物を、比べて買い叩いた方が経営効率がいいし、1次と2次・3次では、企業経営のノリや時間軸が違いすぎて同じ企業でそうそうやれることではない。
でっかい加工向けキャベツをつくって、外食千切りキャベツ用農家が効率的経営を達成、なんてこと、大きな話ではないし、そもそもそんなにうまくいかなさそう。どうせキャベツをスーパー向けに作ったって「B品」が出て加工用に回るんだから。

4、 関税や生産調整は、実は一理あるので重要 

TPPがらみの関税や減反などは、実はよく考えなければならないこと。
そもそも日本国内で生産する農業が、本当に国際的競争力を持てるかというと、、、、疑問。
もし、そうなれば関税、減反撤廃すればいいけど、いまの労働者の環境等ではかなり疑問なのが現実。
 
競争力無い前提でも自給率をある程度保とうとするのであれば、「歪み」や「統制」が不可欠。
最も直截的で分かりやすいのは、関税かけて国内のを守ること。
同時に、守られてるなら作りすぎて捨てるなっていう枠を設けることは、実は理にかなっていたりします。 
ここは、しっかりした議論が必要だと思うし、ちゃんと現実を直視しなければならないと思う。
厳しい判断がいずれにせよ必要な所。


5、 機能測定やセンシング技術などへの補助金は有効かも
 
農産物が結構余っていたり、「儲からない構造」が問題な中で、
競争力の為に最重要な事は、「費用対品質の高い農産物を作る技術/能力」を作ること。 
 
費用面での競争力が日本は決定的に無いのをどうするか(労働者を入れるか、海外進出すべき)。 
また、品質も単に甘く柔らかいということに留めず、どう高めて行くか。
このあたりの論点が本質的だと思います。
 
「費用対品質」を上げる為の技術向上は、消費者の為にもなるので、公共性があると思う。
例えば、「健康になる」という機能について安く測定出来るための機械(抗酸化値とか)とか、
あるいは、労働効率を上げる為のセンシング技術(例えば田んぼの水位、水温をリアルタイムで安く確認出来るなど)は、日本発でリーダーシップがとれるよう国も注力してもいいかも。

世界に日本品質ブランド発信/農業機器販売という形に繋がるのでは?

農政について ー 「除草剤税」とかどう?

農政についての議論が激しくなって来ているようです。 
 
私もたまに、今回の行政改革委員の方とかにお声がけ頂き、なんかしゃべれと言われてしゃべるのですが、残念ながらうまく伝わっていない感じなのと、
 
昨今の議論を見ても、なんかパワーゲームな感じがしちゃうので、簡単に思う所を述べたいと思います。
 
ちなみに「パワーゲーム」っていうのは、農協に大量にある預金を都市銀行が欲しがっているんじゃないか?とかそんな事です。
 
農政で、目下必要なのは、日本の農業が、安全で効率的になる事だと思います。

現在はその真逆にあります。
 
農地は放置され、「輸出」の掛け声ばかりかかっていますが、品質対コストで考えれば日本の農産物の競争力は小さい状況にあります。
 
では、なにが必要か?
 
安全で、生産性の高い農家(やる気の農家)に土地が集約、移転される事が必要です。
 
その為に何が必要か。 「やる気の農家」を特定して補助金を上げるというのは難しいでしょう。 人農地プランとかありますが、あまり機能していません。
 
私は例えば以下のような事が最も有効だと思います。

1) もう人口も減って空き家だらけなのだから、ゾーニングの徹底で、農地の転用を絶対認めないというのをハッキリさせる
 
2) その上で、農地にもある程度の固定資産税をかける (2万円/反ぐらい?) ことで農地を放置するディスインセンティブをかける
 
3) 更には、農薬や除草剤に一律に課税し、生産性の高い/技術力のある農家に農地を集約を加速させる
 
実は、更に言えば、海外現地生産。日本のメーカーがみんなやっているように、 より条件の良い生産地で、日本の資本でもって生産をしブランドを作るというような事が、最も重要だと思います。
これは民間ベースで出来るはずだし、農政うんぬんではないですが。

 
農薬/除草剤については、いろいろな意見があると思いますし、国民がどう考えるかだと思います。
ただ、こういうことが本質論ではないかな?と思うので、議論喚起まで
 
ちなみに、企業が農業に参入するに当たって気をつけたい事は ここ  に少し書きましたが、また近々各予定です