トランプさんの勝利にからんで感じた事/考えたコト

激しい事を言い続け、さんざん批判的を受ける形で「バズった」トランプさんが、1対1の大統領選で勝ち切りました。
 
ざわざわしていますが、僕は以下のような事を感じ、考えました。

・ 寛容ってなんだ?
・ ISや日本の多い自殺と底通する、「不幸感」「いらだち」が量産される状況 / 政治家じゃなくビジネスマンがいきなり大統領になるには「洗練されてない事」が鍵なんだな
・ 軍事、経済等への影響
・ 「国家」とは、何だ?

それぞれ行きます。

1) 寛容ってなんだ?

「寛容」って難しいな、とまず思いました。「メキシコと壁を作る。ムスリムを入れない」とトランプさんは言い、それが「非寛容であり得ない!」と批判されています。 その批判、「非寛容」ですよね、と。
 
基本的には白人の国だと思いつつも、その前提の中で、ある程度の「多様性」は我慢するか、と思っていた人達が、素直に「もう我慢ならん」て、言い出した。
これは、ちょっとかっこわるいかもしれないけど、割と素直な主張な感じがする。
 
日本なんて、全然移民受け入れていないどころか、「受け入れます詐欺」みたいなことを、看護、介護の領域とかでやっている訳で、「トランプさん超非寛容〜」とかって言える立場じゃないと思います。
 
僕自身、寛容でありたいと思うし、「自由」はとても大切だと感じるのですが、よく考えると、多くの場合、他人の自由は私の迷惑という状況だったりするわけで、「寛容な社会」「自由な社会」ってなんなのかと改めて考えた時に、よくわからなくなってしまいました。
 
自由と寛容って、なんか近しい感じもするけれど、実は、「自由」を保証する為には、沢山の「これは守り続けるとかこれはダメ、という“譲れないライン”を設定し、それを確保する=脅かす物には非寛容に対応・攻撃する」ということが欠かせないんだなと。
 
日本のなんとなしの、職業選択の自由(法律上ではなく、実質的に仕事が選べる感じがする人が多い状況のこと)とか、パスポートがあれば基本どこにでも行ける自由とかも、つきつめれば、実は、日本の移民政策への非寛容さなどによって保証されている部分もおおきいなと。

ということで、「寛容」とか「自由」って難しいなと思ったのですが、「人権」とかも、「自由・寛容」同等、難しいかもしれません。一定の「人権」を守ろうと思ったら、人口抑制、産む権利抑制が前提、みたいな事、つきつめたらある気がします。

滅入ってくるので、ちょっと目線を空に上げた所、直感的に、「それはさておき、心に余裕が大きい社会」が良いなと思ったので、次の章に行きます。



2) ISや日本の多い自殺と底通する、「不幸感」「いらだち」が量産される状況/政治家じゃなくビジネスマンがいきなり大統領になるには「洗練されてない事」が鍵なんだな

今回のトランプさんの勝利の原因は、一言で言えば、「エスタブリッシュメントむかつく。俺は/私は、不幸だ/先の幸せが見えない。とにかく、今の延長線上ではなく、ぶっこわしてくれ」と思う人が超多く、それがトランプさんに入れた、という事でしょう。
 
要は、「不満、不幸多数社会」な訳です。
 
「社会の閉塞感」これはなんでしょうか?
 
この原因は、まず、「人の仕事が減っている事」と「有名人やスーパーリッチの情報がどうしても簡単に入ってきてしまう事」にあり、
「みんな、社会における“何者か”になりたいんだけど、基本的になれない」という状況にあると思います。
 
工作機械、コンピュータ・スマホ、AIなんだかんだ。これらは、「人間が働く必要ありませんよ、われわれやりますから」というものです。
 
昔、第一次産業革命で「機械打ち壊し運動」ってのがありましたが、全然今日的な課題な訳です。人は、「便利なモノ」に仕事を奪われているのは事実です。
 
「便利なモノ」が出てきたら、楽になるから幸せかといえば、人はすぐに馴れて、益々「めんどくさがり」になるだけで、別に幸せにはあんまりならないわけです。
 
楽になって幸せ、よりも、仕事が無くなって、社会に役割が見いだせなくなってイライラ、の方が強かったりする感じな訳です。スマホもって、携帯ゲームやるけどむなしい!みたいな。(私は、「みんなでいっせいのせで携帯捨てるぞ!みたいなムーブメントがあれば、先陣切って捨てたい!みたいな気持ちが強くあります)
 
一方で、資本主義では、単調な労働が機械に取った変わられると、会社の成功の為に重要なのは、従業員の質/量というよりも、ブランドであったり、資本力であったりと、「益々エスタブリッシュメントが富み、断絶は拡大する」という力学が強くなって行く、、、
 
さあ、どうするか。
 
 
深い問題で、「資本主義」や効率といった枠組みでは解決難しい訳で、、、
宗教なりの出番なんでしょう。。。 「知足」を知ると幸せになる。。。広がるかな?、、、 
さあ、みんな、座禅を組み、知足を腹に落とそう!ってか、、、 うーん
 
ともあれ、ビジネス界出身政治素人の初の大統領像が、トランプさんのような感じというのは驚きました。
 
前回、ロムニー負けましたが、不満な人達から見て、「俺たちと違うエスタブリッシュ」に見えないこと、つまり「お行儀が悪い感じ」が、勝利に結びついた訳です。
 
例えが批判をよびそうですが、日本で言えば、ビートたけしさんが、超お金持ちだけど、そういう感じがしない。
一般の人からみて親近感が持てる。そういうことがこれから政治、選挙で勝つには大切な1要素なんですね、、、
 
しかし、改めてすごいな、大統領を直接選ぶ選挙制度。。。日本がやったらどうなるんだろう。。。強いリーダーでてくるのかな、、、 この制度ついては、本当に重要な課題が早めに突きつけられるという意味で、ちょっとうらやましいなと思いました。 衆愚というのもあるけど、間接民主制であるが故に、wiseな判断がされるという感じはしないから。。。




3) 軍事、経済等への影響

なるべく長くならないように書きますが、トランプさんがキャッチーに言ってきた事(保護貿易的、軍事費負担させる等々)と、本来「共和党」というのはどういう党かというのを重ね合わせてみるのが良いと思います。
 
以前、超優秀なアメリカ人の上司が、アルゴアさんとブッシュJrの時に、どう考えているか聞いたら、「ブッシュJrはどうあれ、共和党は実際的(practical)だから、共和党が勝った方がいい」と迷い無く言っていて、なるほどそうなんだと、ビックリした覚えがあります。

共和党は、軍需産業、それに近い、石油、通信、航空、自動車に強い政党です。だから、「孤立主義」はむしろ民主党のほうがなりそうで、世界の警察まではできないにしても、基本路線権益確保の為には軍事出動を辞さない党なはずです。
トランプさんにしても、敵を国外につくるのは、分断しているアメリカをまとめるためにも、やりたいことです。
 
(一部で、トランプさんになると、アメリカ回帰主義になり、基地撤退とか進めるから、今回の選挙の勝者は中国だみたいな、報道がありますが間違っていると思います。むしろ、ロシア等ども関係修復しつつ、中国には強く出るでしょう)
 
そういう意味では、日本の米軍基地に関しては、負担増は求めるでしょうが、「撤退も辞さないよん」は本音では無いでしょうし、対中国、対北朝鮮には強く臨んで行くと思います。
 
ちなみに、米国基地の負担、コストの75%負担しているんだからいいじゃん/トランプさんが無知なだけというような声も聞かれますが、甘いと思います。
その「コスト」(1兆円ぐらい)というのは、そこにある兵器の開発費とかは含まれていないはずです。米軍が居てくれるのと同じ軍事力を日本が作ろうとしたら、作れないばかりか、ある程度のとこまでいくのにどれだけお金がかかるか。
 
別の言い方をすれば、日本の国防費(〜5兆円)と、米軍基地の負担(7000+億円)、どちらのコスパが優れているか。言うまでもありません。ちなみに、アメリカ軍事費〜50兆、中国〜20兆。
 
そういう意味で、「コスト」はどこからがコストか(ランニングだけでなく、開発費とかもいろいろかかっているぞ)、或は、「そもそもコストベースではなく、価値ベースとして、傭兵だと思ったらこのぐらい払え」的な考え方になれば、支払い増加を求めるロジックはいくらでもあるのです。
3兆払えと言われても、「お願いします!」な状況な訳です。
ということで、負担は増えるでしょうし、日本が出来るのは、「その代わり、こういう状況ではこうするってちゃんと約束して公表して!」ということでしょう。

一方で経済。
 
共和党保護主義的なので、TPPはストップ、又はかなり厳しい局面を迎えるでしょうね。
ちなみに、トランプさんが勝ったことについてどう思うか日本の農家に聞くと、「TPPが流れるからほっとする」みたいな事を言っていますが、私は逆だと思います。
 
TPPが流れたとしましょう。その場合、日本は宿命的に自由貿易を押し進めなければならない国です。
これまで以上に、日本は自由貿易を声高に主張する国にならねばならない、二国間貿易協定とかを進めなければという力学が働くのでは?その中で、農業関連の異様な関税率は、益々交渉上のデメリットとして認識される事でしょう。
 
また、そもそも共和党は、どちらかというとタカ派なので、TPPを「てぬるい」として反対している訳で、根本的には、日本の関税に対してはより強い態度で臨むはずです。
 
ちなみに、米は、カリフォルニアの地下水が足りなくて、アメリカも作れないので、アメリカ的にも日本に売りたいインセンティブは無いので、特例でいけるかなという気がしますが、畜産とか益々しんどいですね。

ということで、「wagyu」は海外で作りましょう。
Doleはトロピカルな感じのブランドですが、Toyotaみたいな、日本のちゃんとしてる感じが匂い立つ食べ物のブランドを作り、海外生産もしましょう!
 
今、オーストラリア人どんどん作ってます、Wagyu made in Australia。

日本企業負けないようにしないと!ホクレンとかマルハニチロとか、アメリカにwagyu生産拠点/ブランドつくったらいいのに。トヨタアメリカで車を作っているように。
 
この章やっぱ長くなりましたが、とりあえず以上。

4) 「国家」とは、何だ?

「自由の国アメリカ」が揺らいだ。
それは間違いないと思う。
アメリカは、「基本白人の国、それが前提」な人と、「人種差別は悪。自由、平等に反する」という人と。分断してしまった。
 
簡単に国境を超えられる現在。
経済活動は、国家と言う枠を超えるのが当たり前な現在。
 
国家ってなんだろうと改めて思いました。
 
ポリシーもいろいろ変わる訳で、そうすると行政的に「いつまでの人はOKだけど、いつ以降はダメ」みたいな、principleもへったくれもないことが起きるでしょう。
 
白洲次郎はいつも、「プリンシプルが無い日本」(日本人の島国だから、なんとなく日本という国家は体をなしているが、背骨がない、、、)と言っていたし、
チェゲバラも60年代?日本を見て、「近代化、経済復興したかもしれないが、日本の魂というのが失われたのではないか」と言っていた。
 
一方で、キング牧師等々、いろいろな歴史を経てきた、「偉大な国アメリカ」が、分断し、プリンシプルを失った感じがする。
プリンシプルとは、アメリカである以上、共有する価値感とか、方向性とか。具体的には、自由と平等ではなかったか。
 
日本だって、なんとなくまじめとか、いろいろあるけど、じゃあ、教育熱心で貯蓄率が高くないと日本人じゃないのか、、、
或は、移民を希望する人に、「こういう価値感とか、能力が無いと日本人にはなれない」っていう一般的なハードルを設定出来るのか(まじめさとか?真摯さとか?義理堅さとか?)、、、
そんなふうに括れる訳ない感じがする。 
 
タックスヘイブンとパーマネントトラベラー、ビットコイン、どでかいMNC(多国籍企業)。
一方で、揺らいでいるけどEU、国連。
いろいろある中で、国家とは、煎じ詰めるとなんだろう?
 
結論めいた事は、僕の想像の範疇を超えるので言えないけれど、先進国には、愛国心とか、「この国である以上、この国民はこうだ」みたいな物は無い。というのは感じる。
北朝鮮や、増してやプーチンの強権を笑う事は出来ないと思う。
 
今を生きる人(特に、若者)は、国ってなんだ?っていう命題に向き合わざるを得ない。 
薄れて行った方がいいのか?強まった方が、居心地いい/都合がいいのか? どうなんだろうか?
 
以上、とりとめなく長いですが、久しぶりなのでお許を
 
おいしいリンゴ、もうすぐ売ります!