りんごの輸出について: 現状認識とやらなければならないこと

あるご縁で、農水省の「食品産業グローバル化検討委員会」なるものの末席に加えさせて頂いた。
 
ご一緒した委員は、大御所ばかりで畏れ多かったが、ちじこまっていてもしょうがないので、
「農業人」「長野人」「国際農業経験」で勝負だと思って、二つを提案させて頂いた。
 
一つは、Made by Japanese (海外生産)の戦略的支援 (既に中国、韓国などはやっている。木村のインドネシアでの米作りも、日本勢は融資などしてくれなさそうなので、基本的に現地のベンチャーキャピタルの出資をあおぐ事になりそうであり、そうなると日本のフードセキュリティーに貢献とかはどうでもよくなる)
 
もう一つは、国策としてのりんごの輸出体制の確立(100億以上、国内生産高の10%以上を輸出 というのを早急に)
 
後者について、資料を用意したので共有したい。
 
今後継続して、「輸出を志向する強いりんご農家」
や、伊藤忠(Dole)を中心に、このビジネスのリーダーシップを取り得る(数十億戦略投資しうる)方とのコネクション作りなどを続けて、頑張っていきたい。
 
資料: 「国策としてのりんご輸出についての試案」

最後に、この資料作成をサポートしてくれた、大宮君に感謝。

こんな時代の大きなビジネス上の岐路 〜 居抜きビジネスか、スクラッチ投資ビジネスか

ブログがだいぶご無沙汰してしまいました。気合い入れて、いろいろ考えて書きます。
 
ビジネスには、いろんな大きな切り口があります。
B-B or B-C。 さわれる物か、さわれないサービスか。 などなど。
 
このレベルの岐路として、「居抜きかどうか」という視点もあるかな、と最近思います。
 
もうちょっと言うと、「ほぼ無料で資産をゲット/有効化して、それに合わせて事業を展開する」か、そうでなく「自分のカタチをfrom スクラッチで作る」か。
 
企業の再生、居酒屋、農業、インドネシアビジネスなどいろいろやってみて、このどっちをやるかを決める事は大切だなあと思うのです。 減価償却が20%を上回るビジネスはざらにあります。これがあるかないかで事業は全然違ったものになります。
 
そして、「居抜き型」の比重が、最近急激に高まっていると思います。
だからこそ、我々が事業を始める際には、「居抜き型かどうか」を真剣に検討する必要があると思うのです。
 
この「居抜き型」が急激に増えている理由は、
1、既に過剰にいろいろな資産、箱ものが存在する事
2、ITによって、需給が瞬時にマッチしやすくなった事
3、IT上の信用というものが増えて来て、それを信じて契約する顧客が増えている事
などかと。
 
さて、居抜き型の代表選手を例示したいと思います。
 
< 居抜き型ビジネス事例 >
 
鳥貴族: 良い立地のつぶれた居酒屋を買い取り、内装はほとんど手をかけず、競争力のある焼き鳥のみ提供
 
カウチサーフィンAirBnB: 家や、家のソファーを旅行者などに貸すサービス
 
都内などに増えている、格安シェアハウス、シェアオフィスなど
 
私がやっている農業(日本)も、完全に「居抜き」型です

星野リゾート、アコーディアなどのホテル/ゴルフ場再生もそうですが、今回は特に「格安&満足品質」に注目したいなと思います。
 
こういった非稼働資産の完全稼働化ということでいうと、今後、
 
・自宅駐車場の使わない時間だけレンタル
・自分のパソコン、サーバーの使わない分のレンタル
 
など、いろいろ出てくるでしょう。
 
また、「ネット上の信用情報を、いろいろなサービス間で連動化する」ニーズが出て来て、これにある程度各社答えざるを得ないでしょう。
例えば、Yahoo! auctionとeBayが、評価情報合算できるようにして乗り入れ! とか、
その上で、その評価ポイントもカウチサーフィンで参照できる とか。
 
ネット上の信用付与サービスをFBあたりが始めるかもしれませんね。 
 
さあ、どうなることやら。(流れを読んで、「ネット上の信用力」を上げなければ!)
 
ということで、新事業始める際は、居抜き型か否によって、やるビジネスのノリが全く変わるので、混同せず、択一で自分の事業のスタンス決めた方がいいと思います。
 
 
もう一方で、我々の生活により感覚的に影響があるのは、
 
「収入や資産があるのが、上」という価値観と、
「より自由で、楽しんでいる/心地が良いのが、上」という価値観で、更に揺さぶられる事でしょう。
 
今後も「安いけどいい」ものやサービスは、「居抜き型」で増え続ける。
 
だから、それを享受して、そんなにお金かけずに、けっこういい生き方をすることがしやすくなって来ています。
 
でも、やっぱり、「価格」という軸は分かりやすいので、「より高いもの」のニーズは無くならないし、それを提供しようとする会社もなくならないでしょう。
 
そういう社会の中で我々は、「私は、私らしく、お金に縛られずに充実している!」状態を目指す気持ちと、「やっぱり、高い、素敵な物/サービスが欲しい!」という気持ちと、相克が増すんだと思います。
 
日本は、私らしく!の人が増えて、サステイナブルな社会の見本になるといいなと思います。
 
最後に、では、どういうビジネスは、「居抜き」じゃだめか。
 
お手本はUNIQLOでしょう。
 
人の流れ、動き方を変えるようなものであれば、「新立地イノベーター」でなければならないから、自分で新たな場所で、新たな箱で、こっちのほうがいいでしょ!?とやらなければならない。
 
過疎の地方で、ターミナル駅前に駅ビルを建てて、そこに老人ホームからマンションから、保育園からを入れこむ!というビジネスも、そういう「人の動き方(住む場所)」を変えるビジネスの典型でしょう。 こういったビジネスは、投資して、回収しなければなりませんね。
 
 
インドネシアの農業は、日本の農業と違って、新しいブランド、やり方を作るビジネスなので、「投資型」に近いのですが、それでも日本の中古の物をなるべく使いたいなと、思います。
 
読んで頂いた方、ありがとうございました。
 

 

 

2012の振り返りと2013の展望

あけましておめでとうございます
 
今年も、いろいろと書いていこうと思いますので、宜しくお願い致します。
 
さて、2012を振り返り、2013の展望を書きたいと思います。 
 
 
2012年は、一文字で表せば「動」といった感じでした。
JR、高速道路などのために仕事しているんではないか、というぐらい、交通費を使った一年でした。
 
そんな1年のニューストップファイブ形式で書こうと思います。
 
では、
 
No5; 「インドネシア展開準備完了」
 
インドネシアには、2012年4回ほど行きました。
場所も、ジャワだけでなく、スラウェシなど、いろいろと回りました。
 
継続して関わる事で、事業の魅力、意義が改めてハッキリと分かりました。
そして、どこで、誰と事業をするか肚が決まりました。
 
Made by Japaneseのジャポニカ米事業、
それを、インドネシアでやる事、
意義があると思うのですが、国や国内金融機関の支援は今のところ受けられなさそうです
 
自分たちだけで進めて、小さいながらもこの冬には、拠点が立ち上がる予定です。
インドネシアでいろいろなご縁を頂いたお陰です。
ジャカルタから少し南に行った、高原地帯のスカブミという地域で始めます。
 
この2013年上半期には、収穫を始めたいと思います。 お楽しみに! 


No4; 「小布施町顧問、きちり社外取締役農水省委員など、非常勤のコト」
 
今年は、「非常勤」の業務をいろいろと頂けました。「講演」の仕事もちょっともらいました。
「農業者」だが、いろいろやっているやつという事で、セルフブランディングして名前を売った結果でもあるかと思います。
 
これまでずっと、「コンサルティング」=三ヶ月ぐらい集中型のサポート
をやって来て、「むしろ、長期にわたって特定のクライアントと信頼関係を作ってサポートしたい」
という気持ちがあり、このような仕事を頂けたのは大変有り難く思っています。
 
ただ、まだまだ、価値の出し方を模索中という感じです。
 
フィクサーみたいなスゴいネットワークがある訳でもない。
短期集中プロジェクトのような、迫力を醸し出せる訳でもない。
 
こういった非常勤の仕事で、且つ、価値をちゃんと出すというやり方、まだまだだったなという1年です。
 
ただ、長期の関係になるにつけ、本質に迫り、向こう5年10年を考えた時に大切な事をしっかりとサポートする、そんな実感を得られるように、ポイントを絞って、貢献していきたいと思います。
 

No3; 研修講師としての仕事のペースが掴めて来た事
 
去年、農業以外の仕事は、コンサル、顧問業、講演業といった感じでいろいろとやりましたが、一番手応え上がったのが、研修講師の仕事でした。
研修の仕事で欧州拠点の幹部研修をブリュッセルでやる機会も頂きました。
 
今も、これからも、「事業創造できる人材の育成」はテーマであり続けると思います。
 
「木村氏は自分でも農業事業を始めている。だからこの講師を呼びました」と言われて、嬉しいと共に、気が引き締まるようなこともありました。
中堅幹部に向けて、会社のコアを再認識しつつ、「内なる声」に耳を澄ます事と、左脳を使う両方をやりながら未来像を描く、そういう研修はこれからもやっていきたいと思います。
 
実は、こういうのが向いているとは思っていませんでした。最初はコンサル的なことや顧問的な事を中心に考えていました。 以外なところに、適性や事業機会というのはあるものですね。
これのお陰で、なんとかコロボックル社の経営基盤は、安定しました。よかった。初年度は赤字でしたが、なんとかやっていけそうです。
 
こうなったのはセルムさんという会社のお陰が大きいです。
研修講師派遣業としては国内最大級の会社で、とても良い方ばかりです。
 
この場でお礼を述べると共に、もし人事部の方などいましたら、是非活用下さい、と宣伝しておきます。
個性派講師陣が揃っており、それをうまく手なずけている、よい会社だと思います。

 
No2; 「軽井沢での野菜生産ベースがなんとか立ち上がるもセロリ大失敗」
 
この春、思いがけずご縁を頂き、軽井沢に数枚の畑を借りる事ができました。
いろいろなお野菜も作る事が出来、宅配で大切なお客様(知り合い)に野菜を出荷する事もできました。
 
大量生産作物としては、にんにくとセロリに挑戦し、セロリは大きくコケました。リスクを取りすぎた事は反省でし。
にんにくもいいものが収穫出来たのですが、乾燥に一部失敗。
更に、今年は、種を買うのではなく、自家採種率も上げての挑戦になります。
 
ということで、いろいろと改善点が多く、一歩一歩進むしかありませんが、ざっくり今年が40点だとすると、60点以上を取る事をゴールに、2013年畑を落ち着かせ、安定させたいと思います。

No1; 小布施若者会議大成功
 
全く予想外だったけれど、2012の最大のニュースといえば、これでした。
 
こちらが、会議の様子まとめ映像
 
200人の県外の人が来て、殆どの人が小布施初めてであったのに、終わってみて半数以上が小布施に定期的になんらかの形で関わりたい。という結果になりました。
 
このようにうまくいったのも、中心となった学生チームはもちろん、小布施の強力な若手リーダー、町長をはじめとする小布施の行政チーム、小布施堂をはじめとする小布施の重鎮、リクルートカヤック、ベイン、エティック、82銀行等々、頼んだ先ほぼ全てが最大限協賛、協力頂いた、すばらしいチームワークが出来たからで、最高の体験でした。
 

直感として、「これからは人は動く。 だから自分がまず動いてみよう」 というのが長野移住決断の元にありましたが、こんな形のイベント作りにいきなり携わるとは、1年前は実は思っていませんでした。
 
これから、若い人がどんどん小布施、長野に入ってくる事でしょう。
楽しみ。 彼らと、長野の人との化学反応を通じて、おもしろい、スバラシイ未来を作っていきたい、と改めて思いました。 
 
まずは、信州ファーム荻原さんとのインドネシア事業成功させて、前例を作るし、小布施でもいろんな事業という形で結実する化学反応を起こすぞ!と思います。 
 
この会議、継続するようなので、地方、町づくりに興味のある方は是非。小布施町の懐がハンパなく広いので、面白いですよ。
 
以上、2012「動」の年でした。 がちゃがちゃしていたな。
 
さて、2013は、距離的には同じぐらい移動するだろうけど、2012みたいに先が見えないなかヤミクモに動いていた感じではなく、すこし、それぞれの活動を落ち着けたい、安定稼働化させたいなと思います。
 
今、見えている主要テーマとしては、

1、 インドネシア米生産稼働、初収穫します
 
2、 宅配100件/週を達成すべく、オーソドックスなのも変わったのも、いろんな種類、なるべく長期に作ります
 
3、 「軽井沢クレソン」主力品目化トライします。 セロリも小規模でリベンジ
 
4、 コンサル/研修講師仲間の、「箱」づくり
   元コンサルの横の連動性を高めて、若手後輩を採用し彼らも稼げるようにする
   会社を作る訳ではないが、いろいろと助け合い、固定費共有化する仲間という動き方が出来るようにします
 
5、 小布施2030ビジョン作り
   行政主導ではなく、若手キーマン主導で、小布施の方向性をセットできるような場をファシリテートします
   それを踏まえて、どういう人を引っ張って来るか見極めて動いていきます

以上、2013も走り続けます。
いろいろ綻びもあり、ご迷惑おかけする事も多々だと思います。
それでもなんとか、宜しくお願い致します。

「若者の投票率の低さは問題」か?

明日、衆院選都知事選である。
 
よく、「若者の投票率が低い事が問題」と言われる。
そう思っていたが、最近これがピンと来ない。
 
若者が(国政に)投票するようになれば、今の「諸々の問題」は解決する方向に動くと思うか?といえば、どうであろう?
 
また投票以前の問題として、優れた若者にとって、国政に打って出たいか?を聞いてみると、おそらく多くはNoであろう。
 
ということで、若者が投票に行こうが、それで日本が活性化していく、というようなインパクトには繋がらなさそうな感じがするのが正直なところだ。
 
 
いよいよ、中からぶっ壊すというのは、孫さんか柳井さんあたりが本気になった時にキューを出してくれて、そのとき若者がイザ鎌倉で投票すればいいんではないの?
 
そのへんのタイミングとか状況作りは、素敵な先輩方にお任せしとけばいんでないの?という気がします。
 
 
では、この国の若者はなにすりゃいいのか。
 
それは、一言で言えば「創る覚悟」だろう。
 
なぜか。
 
既得権益の甘い汁を効率的に分けてもらおうという戦略は、筋が悪いと思う。
 
まず、先進国の数が多すぎる(韓国、中国、インドとどんどん仲間入りしてくる)ようになって来て、国内の「蜜の総和」はどんどん失われている(大手企業が厳しくなって来ているように)。
 
んで、国内も年上の人が多すぎて、分け前にあずかれる可能性は低い(大企業、中央官庁の方、肌感覚の通り機能してない)。
 
国政においても、大企業内の人事においても、「政治」は基本的に既得権益層の多数決であり、組織/団体が急成長していない限りは、「政治あるところに、既得権益を守る仕組みあり」なのだ。

 
一票の格差、ネット選挙等々を変えるべく動くのもいいだろう。

でもでも、この「閉塞デッドロック状況」は、結局そういうことでは変わらないのではないだろうか?
そんなことは、小手先なんじゃないのか?
 
僕が思うに、本質的な、今若者がやるべき事は、「政治参加」なのではなく、「創ること」だと思う。
 
若さの強みは、政治力ではない。
 
情熱、機動力、柔軟性、気合いと根性。。。
そういったことだ。
 
こういう本質的な若者の力をフル動員して新しい価値を創る。 それが若者の第一の使命だと思う。
 
ITやバイオベンチャーもよし、
お店や農場もよし、
企業内起業だっていいだろう
 
小さい単位で、地に足をつけて、周りの人と本当に信頼関係を築きながら、世界に「俺はこれやってんだよ」という何かを創る。その事に全力をかけましょうよ、若いんだから。 助け合いながら。
 
おっきいとこ/ことは、これからだいたい難しい。

小さい範囲で、1〜100まで自分でやって肌感覚でいいなと思う事が、強みだと思う(大変だけど)。 

 
まあ、いろいろ言いましたが。 結論。

 
「選挙でワーワー言ってるヒマがあったら、なんでもいいから創れ!」
といったら言い過ぎか。
 
以上、前回の都知事選はずっぽりやっていた者の発言としては、軽いのかもしれませんがwww、いま実は率直に思う事です。
 
余談。
今日から、久しぶりにヨーロッパ、しかもEUの中心ブリュッセルに行ってきます。
とある日系商社の欧州幹部研修のお仕事です。
 
金融危機とかいろいろあるヨーロッパですが、「グローバル本社をどこに置くべきか」といえば、人材面等から考えて、ヨーロッパは妥当な可能性が高い、ような気もします。
 
別の切り口だと、一番クールで文化度の高い物は、やっぱりフランスやイタリアの田舎だね、とか、そんな感じもする。
 
あるいはあるいは、スペインでは若者の失業率が4割とからしいですが、そのことによって逆に、新しい活力ある次の社会モデルが近々示されていくような気もする。
 
要はなんだかんだ言って、ヨーロッパは、ある意味で近代のフロントランナーであり続けるし、一方でカッティングエッジが中国、インド、ブラジル、インドネシアとかになっている(例えば、みんないきなり初めての電話がスマホだったりするから、電話インフラからPCからすっ飛ばすとか)。
 
そんな背景で、その間に嵌ってしまってなんもグローバルに通用する新しい物を「創れ」ない日本が調子悪い感じだと思う。 だから、ヨーロッパはヒントが多いと思う。 
 
なにかを感じて掴んできたいと思います。またご報告します。

選挙戦に見る、民主主義の「意思決定プロセス」機能不全 〜 経営判断プロセスとの違い

衆院選に向けて、各党の主張が示され、マニフェスト、各メディアの発信の中で整理されようとしています。
 
それらを眺めて改めて思うのが、今の「選挙という仕組み」が、「有効な意思決定プロセス」になりにくい感じがするということです。
 
今まで、コンサルタントとして、経営者の端くれとして、意思決定をドライブする仕事をナリワイにして来ました。また、前回の都知事選には関わらさせて頂きました。
 
そんな経験から学んだ、有効なな意思決定/判断を再現性を持って継続できるためのプロセスとして大切なのは以下のような事です
 
ー 俯瞰的・網羅的視点に立った上で、最大の争点(みんなが右と思う事でなく、右、左に半々に分かれるような事、トレードオフな事且つ重要な事)を選別して、逃げずに、そこに論点を絞って判断する覚悟を決める
ー その論点においては、合理的な論拠に基づくディベートを経て、判断をする
ー また、そもそも論として、理念・想い・ミッション・ビジョンを明らかにし、常に問い直して、それに準拠して判断する
 
(ちなみに、短期的にはこういうのをすっ飛ばして、超優秀なリーダーの専制君主制が圧倒的に有効なのですが、サステイナビリティーに問題があるので、それは置いておきます)

政治家/メディアが、本気でこの国を経営すると決意していたならば、上記のような視点に立った物の考え方をすると思うのです。
 
しかし、現状の選挙戦。実際問題、どういう視点に立って、論点選択/主張がなされているか。
 
私には、「多くの人が反対しなさそう、且つ、なるべく他の政党と差別化できそうな主張」が何か、という視点で、各党が選挙に勝つ為だけに、「バカな国民」対策をいろいろ探しているような気がしてならないのです。

例えば、「進むか戻るか」vs「政治を取り戻す」みたいな抽象論は、大企業のダメ経営者と同じぐらい抽象的。
あるいは、原発は論点とされているようだから各党利権に近いところは利権守りつつ国民に批判されないように玉虫色、利権に遠いところは主婦にキャッチーに(具体的な実行プランを真摯に見る事なく)、という視点でそれぞれすれ違いながら論を組んでいる気がします。具体的に「右か左か」いつ、どの原発をどうするか(なぜか)に迫っていない。
中央道で事故が起きればまた、「インフラ・国民の命を守ります」みたいな空疎な事を皆言って、どう具体的にコストとのトレードオフの判断をしていくのか議論が進む事はないでしょう
 
俯瞰的に見て、最大の争点を選別する事が大切と書きました。
今、日本が抱える最大の争点は何か。
 
例えば、財政、社会保障
あるいは、キャッチアップエコノミーから成熟国経済/本当の自由な国家への転換という国家戦略のグランドデザイン。
 
こんなところが、本当の論点でしょう。
 
この論点は、どぎつい判断を迫られます。
向こう20年で歳入、歳出をどの程度にすべきなのか。この1点に絞って、どう考えるのか。
少年マンガ条例なんて話しもありますが、どのぐらい抜本的に行政主導/規制を剥がして、クリエイティビティーのある国民にしていくのか。(あるいは、いっそ農本主義/鎖国主義的方向に行くのか)。それに伴って、国、都道府県、市町村の役割/税配分をどうするのか。
本当に、国を背負う覚悟があるなら、ここらについてイメージしないでは居られないはずですが、どれだけの候補者が頭の中に数字を持っているのでしょうか。
 
会社は経営判断の質が下がると、「マーケットの判断」によって、破綻し、淘汰されます。
国の政治/行政の判断の質が低くても、なかなか目に見えて淘汰されないので、健全化は遅いですが、幸か不幸か、似たような「マーケットの判断」はじわじわ効いています。 具体的には、優れた企業/個人は日本から海外にどんどん軸足を移しています。 もう、猶予はないのです。
 
これは、政治家の資質の問題/政治家を批判すればいい問題ではありません。
改めて、国の政治のレベルは国民のレベルだな、とも思います。

 
この選挙で、一人でも多くの、「俺は国の為にこれがやりたい(自分の名誉が欲しい、のではなくて)」という人が通ることを願いますし、立候補者個々人がコミットメントを固めることを望みます。
また、国民側/マスコミ側も候補者の抽象的ふわふわした言葉を許さず、「具体的に、どう、トレードオフを判断するのか?」を示させるような民度に上がることを願います。

あ、ちなみに、今回、こういう「判断力」的な次元ではなく、人間的に全然ダメだろう、、、という次元でアウトにしか見えない人が多く「キーマン」になっていたりするので、それはすこし冷静になってその人の動画を見て直感を働かしたり、wikiなどでその人の沿革をざっと見て、その基礎にありそうなことを類推すれば、わかることと思います、というのを付記しておきます。
 
 
しかし、個人として、選挙で一票入れるのが難しい選挙ですね、、、
柳井正とかぐらいしか思いつかないけど、死票入れてもしょうがないし、、、
いっそのこと今回投票率がめちゃくちゃ低くなるというのも、今後の変化を促すことに繋がるのかもしれませんね

ひとまず、「町・村」単位、顔が見える範囲では、いろいろなことが有効に決まる/進む実感があるので、そういうフィールドで当面頑張ります
 

求められる人材論; 「深さ」と「広さ」について

現在、とある企業で経営人材候補者の輩出プログラム作りをしていたり、若手選抜社員に対する経営マインド注入系研修をしたりする中で「T型人材」というキーワードがある。
要するに、何かを極める必要はあるけど、視野狭窄ではダメで、「技術バカや営業バカ」は困るけど、「軸がしっかりしていないと」みたいな話しだ。
 
「継続は力なり」とも言うけど、「複眼的視点を持て」とか、「思考は移動距離に比例する」とか言ったりもする。
 
今日は、実際の話し、具体的にどのぐらいでバランスを取ればいいの?とか、
「深さ(軸)」と「広さ(幅)」をスピーディーに獲得する肝は?
ということについて、今のところ東京仕事と農業の二足のわらじを履いている自分の事も見つめながら、私の考えを書きたい。
 
まずは、いくつかエピソードをご紹介しながらポイントを纏めたい。 
 
まず、「深さ」あるいは「軸」について

先日、とある種目(それほど競技人口は多くはないがストイック)で、複数回オリンピックに出られた経験のある、40代の方と、ゆっくりした雰囲気でお話しさせて頂く機会があった。
 
パッと見ただけで、それと分かるような「ホンモノ感」を漂わせ、余計な事は言わないような方だ。軸が強い。
 
その方は、引退されて指導者になっておられるのだが、さすがは元オリンピック、なんであれリーダーに据えたなら、組織はしっかりするだろう、と感じさせるオーラがある。
 
こういうタイプは、農業にもちらほらいる。農業を事業として拡大している人は、たいてい頭の良さはもちろん、懐の深さ、覚悟や胆の据わり具合など、どれをとっても一流の人が多いし、そういうことは、パッとわかってしまう。
 
このような一流の「強さ」を獲得するに必要な事は、私の考えでは、
 
・10年程度その領域に本気で打ち込んでいる事(3年じゃまだだめ)
 
・それが好きで好きでまわりの目関係なく打ち込んでいること
 
・ある程度その人の個性・才能に合った領域で本気になる事で、国内/世界トップクラスになったと認識できるレベルまで到達している事。結果、「世の中がどうなろうと、自分は食ってくのに困らない」という自信があること

こういった経験が必要なんだと思います。
 
すこし、マクロな話しをすると、今の世の中の「情報化」と言われる流れによって、様々なノウハウやネットワークは、社内にとどまるのではなく、どんどんオープン化し中途半端はいらなくなる。
つまるところ必要とされる人材は、センスのある職人か、人間力のあるリーダーと汗かくまじめワーカーぐらいなものになる。
また、組織の前提として、終身雇用/叩き上げが当たり前で無くなった瞬間に、「リーダー像」の必要条件から、「一生懸命叩き上げた人」というのははずれ、単純にふさわしい能力人間力があるかどうか、で決まるようになる。要するにリーダーも流動化、オープン化する。
日本には、まだまだ弱っちいサラリーマンが沢山リーダーポジションについていて、たくましい力やオーラのある人が在野にいるというギャップが存在すると思う。
今後、こういう在野の実力のある人が、いわゆる一般企業の経営層になるというのは、大いにあり得る流れだと思うし、必要な事だと思う。 
 
元オリンピック指導者についても然り。
失礼ながらその競技の指導料だけではそんなに大きな収入になりそうもなかったので、「普段は、別のお仕事もされているのですか?」とお伺いすると、「いえっ、私はこれしかできませんから」と謙虚におっしゃった。
もちろんその方は、指導に専念して教え子をオリンピックへとか、目の前に打ち込む事がある訳だけれど、日本のレベルアップという意味では、少しもったいない気がする。
 
ちなみに、「世界の中で、自分をどうonly oneにするか?」で悩むというのが現代のみんなの共通の悩みだと思うが、それに対して、「自分を上手にタグ付けする」方向で対応しよう(例えば、キャリアをこういうふうに積み上げよう)みたいなのは、深さや強さになかなか繋がらないと思う。
 
周りからどう見えるか、を意識している時点で、その人は弱い。
 
結局、他人に自分の事は分からないし、死ぬ時に、「世界から(薄く)広くこんなイメージで知ってもらって良かった」とはならない。 
 
タグなんかは、「コンビニアイス評論家」的な、面白おかしいのでもいいから、随時ウケるものを商売道具として使うぐらいで丁度いい。
私も、今は「エリートが農業へ」的な、それどうなんだよというタグがつけられている気がするが、それはそれで今のところは利用しつつ、「長野とインドネシアを繋ぐ起業家」的なタグにシフトしようとしているが、そこに本質は無く、つまるところ僕は「未来予測」が好きだし、それにのめり込む事だけが僕を本質的に強くすると思っている。
 
次に、「広さ」について。
 
深さを極めれば、そこから勝手に広さが備わる、という考えもあろうかと思う。突き詰めれば世界が見える、というような。ただ、ちょっと禅問答のようになるので、それは置いておいて、そうはいっても「広さ」「複眼的視点」も大切と思うし、それをどうやれば身につけられるか、ということについて書きたい。
 
結論を、一言で言えば、
 
「普通全く交わらないような、異なる複数のコミュニティーそれぞれにおいて、自分が飛び込んで心を通わせる経験」
 
がポイントだと思う。
 
別の言い方をすれば、あるコミュニティーやゲームのルールにおいて通用したことのある人が、それを捨てて、まったく通用しないところで1からもがいた、という経験が必要、ということだ。
 
こちらも、いくつかエピソードを。
 
コンサルをやっていたときの話。
競合のファームが、クライアントの業界ごとのチームを作っていて、それに対してウチの上層部が、「コンサルは基本的に業界知識ではお客さんに勝てない。だから、いろんな業界のお客さんを持って、どこかで起きている事を、こっちの業界に当てはめるとどうか、といった思考の広がりを持たないとだめだ!」というようなことを言っていて、当時は、そうか頑張ろう!と思った。
こういうのもあるにはあるが、今は、むしろそういう事ではなくて、コンサルから居酒屋に飛び込んだ時、またその後農業に飛び込んだのがポイントだったなと思う。
そのことが自分の思考の幅を広げてくれ、その事によって、いろいろな提案や説得などができる。つまり、僕の思考の価値の源泉になっている、と思う。
 
コンサルやってた頃の話に戻ると、むしろクライアント経営者の考えている事もおぼろげに分かりつつ、工場等の現場に通って、現場のパートさんや、高卒叩き上げの現場主任に少し心を開いてもらう、みたいなことが若手コンサルタントの価値の源泉だったな、みたいなことは思う。
 
冒頭書いた、「思考は移動距離に比例する」という言葉の意味も、全く別の場所で、触れ合わないコミュニティーを跨いで、それぞれで通用しようとして四苦八苦することが、自分独自の思考をもたらす、という事だと思う。
 
年齢、収入、文化 こういったカベ/違いを乗り越えて繋いで、折り合いをつけて、挑戦をする(例えば、ビジネスを展開する)。そういったことが、一番頭に汗をかくし、誰もやった事無い事、誰も考えたこと無い事にたどり着けるチャンスを生み出してくれる、と思う。
 
少し話しがそれるが、僕がビジネスを展開する時に、基本に据えている事がある。
それは、「僕がワクワクするか。」
僕にとっては、売上数百万円のレベルまで、のるかそるかのところが最もワクワクする。
実は、ゼロを1に出来たなと思ったら正直興味が薄れます。
ビジネス的には1を100にするほうが効率的にリターンを得られるんだろうけど、ワクワクマックスにするには、そこは非効率に見えます。
そして、ワクワクするというのは、要はそのままでは自分が通用しないところに、飛び込んでみる、ということです。
 
今後、先に述べた元オリンピック選手や、農業経営者が、普通に企業経営や国家/自治体経営に挑戦してくる時代が来ると思うし、来て欲しいと思う。一方で、大企業や有名大学のブランドで安全圏内に居た人が、それが全く通用しないフィールドに若いうちに飛び出ることで強くなる、
そういう「飛び込む」というシーンが増えたらいいなと思います。
 
また、今の若い人を見ていて思う事。 情報を得るという意味では、僕ら世代と比較にならないスピード、質で幅を持っており、正直うらやましい。TEDとか、facebookとか、いろんな情報ソースがある。
だけど、やはり自分で動いて、人と会って、話して、人と合意して、動かして、、、という実地の活動をする時に使ってる頭の使用量は、やはりいろいろ受信している時の使用量とは桁違いだと思う。
結局、いろいろなものは知っているけど、自分の言葉になっていないな、というところで迫力が無い、という感じが多い。
ということで、この「深さ」と「広さ」の話しは、将来ある若い人に向けて書きました。
 
「深さ(軸)」作りは、ざっくり10年かかると書きましたが、一方で、「広さ」=思考の枠を広げるということはどれだけかかるか?
 
私は、付合う人、いる場所をいろいろ変えて、いろいろともがいてみるという事は、時間がかかるし、一生かけて、一挙手一動足をなるべく「挑戦」する方向に持って行くことでしか得られない、終わりなき旅だと思います。
そして、そうだからこそ、人生は愉しいのだと、思います。
 
深く、広い人生にしたいものですね。
 
最後になりましたが、ということで、みなさん長野へ、インドネシアへいらっしゃい。 チャンチャン

小布施若者会議 next steps。 小布施町は起業家を歓迎します

小布施若者会議参加者をはじめ、みなさまお疲れさまでした!

前稿では、若者会議前に駆け込みで5個ぐらい書こうと思ったのですが、有限不実行を晒す結果となりましたが、気にせず、若者会議の今後について書いていきたいと思います。
 
まず、簡単な若者会議の総括ですが、参加者、小布施町民、役場ともに、
「アツかった」
「来て良かった/迎えて良かった」
と、総じて好評だったと思います。 ということで、ひとまず成功でした。ヤッター
 
とはいえ、今総じてある認識としては
「いっぱいあったイイ提案を実現化しなきゃ、 熱を実行につなげなきゃ!」という思いです。
 
ただ、そんな思いは共通にあるにしても、具体的にどうするのか、誰が何をやるのか、ということになると、右往左往しているのも事実です。今のところは、いろいろと各方面にお礼をしたり、なんやかんやで「実現化」を畳み掛けられていません。 でも、やります。是非、一緒に動かしていきましょう。
 
で、動いているところもあるんですよ。
 
例えば、小布施移住若者第一号が、運営委員のコアメンバーから出ました!!! とか。
東京往復バスを月一回は動かすぞ!とか。
 
ということで、若者会議参加者で、今後定期的に小布施に関わって、提案内容の実現化をしてくれたり、あるいは生活/仕事の基盤を小布施に移す事を本気で考える人には、月1ぐらいでバスが東京に出て、なんとなくみんな集まる場が用意されているので、メールやfacebookをチェックして下さいね(9/27や、11/2−3など)
 
今後、「若者会議の提案を実現化するぞ」的な流れの中で、会議や飲み会などいろいろセットされると思うのですが、つまるところ重要なことはなにか?を今日書きたくてブログにしました。
 
正直、提案のアイデア=言葉や紙で示せる事は、すばらしかったけど、こっからのタイミングでは最重要ではありません。
実際に、進める事、実現化する事が大切だし、面白いのです。
 
優勝した「第二町民」だって、正直似たコンセプトは小布施でも前から議されているし、似た事やっている自治体は沢山ある。
でも、「実際スゴい事になる、成果がでるまでやりきる」事こそ、リアルな価値ある活動だし、本当に面白いところです。
 
と、したとき、何が必要か。
 
これは、町のこれまでの議論の流れとも関係するのですが、つまるところ
 
「起業家としてチャレンジするか」が大切です。
 
小布施は、年間20名若者をU/Iターンで入れるという方針を持っています。
これは、新規就農半分、「起業家」的な人(概念は広い。SOHO、職人、更にはベンチャーの第二オフィス含むかも)半分で想定しています。
 
こういう流れの中で、様々な「小布施を活性化する活動」=ビジネスチャンスを実現化する つまりビジネスで結果を出そうとすること、こそこれからのポイントです。
 
やっぱり、「よそもの」がなにか新しい事する/変えるのは、いくら懐の深い小布施とはいえ簡単ではありません。
知り合いで話しているんではなく、いろんな関係者に寝技含めコンセンサスを得ながら、実をとっていく。これが「実現化プロセス」であり、本当の「結果を出す仕事」です。役場の決定をドライブしなければならないことも多いでしょう。大変です。
 
こんとき、結局物を言うのは、「コミットメント」つまり、「みんながやらないなら、俺が全部やっちゃうよ」的な迫力。小布施にどれだけいるか、も重要です。
 
もちろん、チャレンジする「起業家」には、様々なサポートをします。
シェアハウスシェアオフィスや、シャトルバスを始め、様々なサポートで安心して思いっきりチャレンジできる制度は、出来るところから素早く整える予定です。(9/27のツアー等で決めていきます。起業を検討する人のニーズを聞きつつ、双方向プロセスで決めるので、意見ください)
 
ということで、「起業家」として小布施にコミットしてチャレンジする人、大募集中です。
 
別に毎日いなくて全然OK
まずは月1だって、おおきなコミットメントです。
 
個人的にスゴく思うのは、小布施に移って挑戦する人が一人二人だと、寂しくて厳しいということです。
5−10人いれば、絶対にスゴイ町になるし、その後は数十人にほっておいてもなる。
 
小布施なら、最初のハードル=5〜10人が超えられるのではないか、と先の若者会議で思いました。
 
小布施をスゴくするよそ者、最初の5−10人募集!
 
もちろん、起業はしないけど、月一回週末行く!的な人も、とてもとても大切です。
 
面白くなって来ました。