「効く」社内用語

会社の社員の力を、同じベクトルで引き出すのに、「マジカルワード」的に社内用語が浸透するのってとても大切だな、と思う件について書いてみます。
 
僕の経験した「マジカルワード」の例示をしてみます

① ゼロ・ディフェクト —  ベイン
 
要は、「間違いが絶対にない」ということを保証しろ、という事です。
新入社員に最初に求められるのはこれで、これを証明しないと、次に進めません。 
「こいつが出したものは、間違いが絶対にない(出したものの価値はともかく)」という信用を得ることが、一歩目なのです。
 
「ゼロ」という言葉はとても強烈で、一回でもミス・エラーがあれば、その半期の評価で、「ゼロディフェクトではなかったね、not qualified」ということになります。
 
僕は、最初の評価で「もうちょっとでゼロディフェクト」どころか、「carless by nature — 生まれつきミスが多い人」 という不名誉な評価を頂き、お陰様で発奮できました。
 


② 出来ないと言わない。限界からあと一歩進め。結果が全てである — ワタミ
 
三段構えで、かなりインパクトのある言葉。 逃げ場無し。 
この価値観で揃っている組織は、めちゃくちゃ強力なのは当たり前。
 


③ 「ヴァリューが出る」/「プロだろ?」/ミリオンダラースライド — ベイン
 
日々の仕事で、お客様に請求する金額を上回る価値を提供出来ているか、一人ひとりが、1時間1時間考える組織も強いです。 
 
ベインの場合、トイレでの挨拶は、
 
「おう、ヴァリュー出てる?」
 
でしたし、 
上司は部下がちょっと泣き言を言ったり甘えれば
 
「プロとしてどうなの?
 
(=ごちゃごちゃ言うけど、今日お前はXX万円の請求をお客様にすることをお客様に正当化出来るわけ?の意)」
 
とバッサリ切っていましたし、
 
誉めるときは
 
「これ、ミリオンダラースライドだね
(1億円の価値のある提案/分析だね)」
 
という言葉でした。 
 
常に、意識する結果が揃うという意味で、こういう言葉は「効いて」いました
 


⑤ 洗い場に逃げるな / 国立店のアルバイト — ワタミ

両方とも、「洗い場」「国立店」と具体的な言葉があるので、インパクトがある事例。
 
「洗い場に逃げるな」とはリーダーシップに関わる事例提示型の教訓。
 
店舗で洗い場というのは、一般的にやりたがられない役割なので、店長が洗い場に入ると、「あの店長は積極的に汚れ役をやっていい人だな」とスタッフに思われるのですが、それに安住するなと。
常に全体を見渡して、やらなければならない事をちゃんとやれ、安易な人気取りに安住するな、という言葉。
 
国立店のアルバイトとは、店が階段を上り下りしないと入れないところだったが、足腰の弱いお客様をおんぶして差し上げて、誉められた所、「私、昔から力だけは強いんですよ」と言ったアルバイトのお話。 サービスのあるべき姿を示した事例。
 
こういう、具体的、象徴的な言葉は効きますね。
 

以上、何が言いたいかというと、「文化」を作る事こそ、会社を創る事だと思うし、
 
それにあたっては、マジカルな「社内用語」が大切だな、と思う、ということでした。