農業への投資で気をつけたい5つのこと

最近 農業に関する投資の相談が多いので、考えを書いてみました。

以下MECEではない、感覚的に重要な事5つ

1、農産物生産は工学的生産技術や流通ノウハウでと全く別ものと心得よ。人間は生物や地球の殆どの事がわかっていないと心得よ
 
2、農業法人の会計を信じるな。五感を使い人物(農家、百姓)や商品を見極めよ
 
3、6次産業化を安易に考えてはいけない
 
4、ちいさく試験やって実証しつつ、技術と人を作り広げろ
 
5、「海外生産」か「パーソナル化プラットフォーム」が筋が良い

1、農産物生産は工学的生産技術や流通ノウハウでと全く別ものと心得よ。人間は生物や地球の殆どの事がわかっていないと心得よ
 
オムロンユニクロなどそうそうたるメンバーの状況を真摯に受け止めるべし
工学的なセンスで押さえ込もうとしても無理。ベビーリーフぐらいまで。
 
流通的なアプローチも、基本的に小手先でインパクト小さくて難しい/永続性、差別化が困難
 
いわゆる「マネジメントを導入」とかも同様。 金融的に不良債権処理(デット圧縮など)のアプローチは有効な側面もある。
 
2、農業法人の会計を信じるな。五感を使い人物(農家、百姓)や商品を見極めよ

あぐら牧場のこともあったが、農業の会計は未整備。 ワタミの時も、全体の会計監査の大きな時間をファームに費やしたが、会計上のルールが未整備で、個別検討の範囲が大きいから。 
 
特に棚卸しの評価から始まり、「土壌改良は投資です」みたいな、農業的には当然真っ当だが、どう第三者がフェアヴァリューを出せば良いかわからない事満載。
 
だからこそ、現場で、人と物を何回も観察して、五感で相対感を持って判断できるようでないと投資はリスキー
 
ただ、こういうことは農業に限ったことではなく、投資の世界全体であたりまえの本質だと思っているので、結局投資が上手な人が農業投資も上手なんだと思います



 
3、6次産業化を安易に考えてはいけない
 
カゴメがトマトの多くを自社生産すると、本当に社長や仕入れ責任者が発表できるかといえばできないでしょう。
PRや新規事業創出圧力など、6次産業化は非本質的な話しが多い。
世の中基本垂直分業。
 
新しい生産のあり方、卸のあり方、小売りのあり方、とそれぞれのフィールドはダイナミックに変化するでしょうが、垂直統合の大きな流れは生まれないでしょう。 
経営の時間軸やノリが違いすぎて、同じ組織でやるべきでない。
 
もっとも、個人の顔が見える関係に基づいた、数百万以下のミクロビジネスにおいては、大いに垂直統合度が上がる仕組みはありだとおもいます。
 
4、ちいさくやって実証しつつ、技術と人を作り広げろ
 
基本的には、生産は、生産技術と人づくりが両輪。
技術はまだまだ進歩余地が大きいと思います。 
 
これは先に述べた通り、生物学なので、「手探り感」「職人的」な部分をはらみつつになるので、現場で実証的にやるしかない。 
だから、「実証実験栽培」は、ちゃんとコストをかけて(そうはいっても数百万円レベルの事が多い)、意識して集中して大量生産と切り離してやるべきで、そこへの投資は筋がいいと思う。
 
あとは、拡大は「人ビジネス」なので、人材育成の仕組みや経営者のリーダーシップなどを見極める事が大切でしょう
 
5、「海外生産」か「パーソナル化プラットフォーム」が筋が良い

生産自体に特化するなら、やはり日本の技術/農家を活用し、海外で行うのが競争力が高いし、投資家が貢献できる部分が大きいと思います。 
インフラ事業に近くなるし、海外で事業を展開する事自体のリスク管理(政治/行政対応など)が、投資家パートナーがネットワークの中でサポートできるところが大きいと思います。
 
また、アマゾンやフェイスブックといった基幹となるプラットフォームの上で走る、農家と個人が直接繋がるプラットフォームビジネスはまだまだ今後もあると思います。 
ITの話しの要素が強くなりますが、いろいろとビジネスチャンスがあり、良い農家を巻き込めるかが成功の鍵になるので、その部分で農業にコミットしつつ(マイノリティー出資とか)、プラットフォーム事業の立ち上げにコミットしている農家の協力を得て、収益を上げて行く展開はありかと思います