権限委譲のディシプリン 〜 情報化の副産物「マイクロマネジメント長時間労働型モンスターマネージャー」が、組織活力を喪失させる件

最近、「次世代経営者創出」というお題で、お仕事を頂いたり、経営陣の方とお話をさせて頂く事が多い。
また、多様な方(学生、役人、農家、自営業者)と「プロジェクト」という形で仕事をし、意思決定をドライブするということも多い。
 
そんな中、頭の中によぎるキーワードが
「権限委譲のディシプリン」だ。 説明したい。
 
よく、組織で「越権」は罰せられる。
上司、あるいは他部門の年上/役職が上の人が、「聞いてないよ」といって文句をつけてくる。
そんな光景をよく見る。
 
一方で、逆の意味での「越権」つまり、課長は100万円までの案件の決済権限を持っているのに、部長が100万円以下の件について口を挟む事を、「越権だ」といって罰する/おかしいよねという雰囲気を組織が醸し出す ということは、なかなか見ない。
 
先の、上司の「聞いてないよ」だって、言われた部下は、99%「すいません」と言うだろうけど、客観的に見たら、半分ぐらいのケースでは、「そもそも本当に言う必要あったの? そのぐらいの自由度が与えられるのが組織全体の効率性からいったら妥当であるのでは?」 という視点からの検討は加えられる事が少ない。

さて、一方で、世の中で働いている人を見ていて感じる事。
 
・トップ(特に創業者)とそれ以外の人のレベル(能力、エネルギー)が激しく違って、次の経営者作りはとても難しい
 
・マイクロマネジメント長時間労働型マネージャーが、単体としては成果が出ている体で評価を受けがちだが、組織に害がある気がする。若手を無力化あるいは、やる気の若手を辞めさすので

・企業で、新規事業がうまくいく場合、案外「こっそり」やっていたり、あるいは、全然関心が集まらない、吹きだまり的なところから発生したりするパターンが多い

面白い話しで聞いたのが、googleは、いろんなプロジェクトが見える化されていて、「30%ルール」で若手が勝手に始めたプロジェクトと、経営層や新規事業室的なところが始めたプロジェクトが両方あったけど、結局、成功確率が圧倒的に高いのは「若手が勝手に始めたプロジェクト」だそうです。
これは、肌感覚でものすごい分かる。
気の合う仲間同士、「これ、やばくねー」と盛り上がりながらやらなきゃ、新しいものなんて立ち上がらない。

でも、特に日本人はまじめなので、「日本人」x「情報化」で、いつでも何でも重要な情報が見えちゃったりすると、こういう閉塞感が撒き散らされやすい環境にあるのではないでしょうか。
 
なかなか、「権限明確化表」をはっきりと、社長や各幹部に突きつけて、「部下の権限を侵犯するな」と取り締まるのも難しいので(やってみたけど)、
文化として、「やってみなはれ」とか、上司も「良い報告しか聞きたくない!You manage!」的なノリを増やすとか、雰囲気醸成がポイントでしょうね

希有な例としては、自由な離れ小島をトップの英断で作る。 例えばホンダは、20代だけ!とかいうチームを作って、若手向けバイクや車を開発させたり、
居酒屋のきちりは「新卒だけで運営する」店をやり始めている

とにかく、あんまり結論はないんだけど、この高齢化xまじめ大国ニッポン、
「おせっかい=犯罪」という雰囲気作りが、活性化の為にはとても大切だと思います。

最後に素敵な話しを一つ。
 
この夏、若者を小布施町に集めて、小布施のヴァリューアッププラン(ビジネスでも政策でも可)コンテストをやるのですが、
とある、素晴らしい見識を持つ社長に、協賛と審査員のお願いをしに行ったら、
「これからは会社じゃなくて個人の時代だから、個人として協賛します」
「審査員は、私は歳を取りすぎているから、辞退します。若い審査員を探しなさい」
と言われました。

カッコいい! しびれます。
これで、私自身も、このプロジェクトへのコミットメント、責任感がぐっと上がった気がします。
 
こういうカッコいい大人になりたいものです