東大リスク あるいは ジレンマ

東大の秋入試が話題になっている。ということで東大について書いてみます。
 
今回書きたい内容と別件なのですが、まず秋入試について一言。

この導入の結果起きること。それは、短期的には、日本の高校生のトップ層の海外流出が促進されるのだろうな、ということかと思います。
 
「時期を揃える」→「灘のトップがせっかくだからハーバードも受ける」→「頭いいだけでなく、多面的に優れている奴から流出」
 
的な構図が容易に想像できます。トップ層は高一ぐらいには東大受かる力があるし、ハーバードの方が格好いいっぽい、ぐらいの理由で、受けようかなと思ってちょっと準備して、ボランティアとかして、実際人間的成長して受かったりすると思うので。
 
そうなることは、いいことでしょうけど。じわじわ行くより、現実が早く訪れる訳で、東大の授業品質、生徒品質の向上もプレッシャーがかかるでしょうから。
 
さて、閑話休題
 
最近、いろいろなことを見聞きするにつれ「東大」っていうのは、ややこしい、トラップに陥りやすいもんだな と思う訳です。
 
「東大」の価値ってなに? と。
 
「(今の)試験に合格している」ということと、「社会で仕事ができる」ということは、ほぼ無関係なのは明白かと。
 
受験のメインディッシュ、「覚える」ということや「整理する」ということは、コンピューターがいまどきやってくれちゃうので。
 
「創造できる」とか「センスがいい」とか、「リーダーシップがある」とか、「感じがいい」とか、仕事で役立つことと、今の試験でいい点とれること、殆ど関係がないから。
というか、むしろ、現実問題、「東大」ってだけで、壁ができてしまって、リーダーシップとりづらかったり関係が築きにくかったりというシチュエーションなどデメリットも、ままある気がします。
 
唯一、東大が「仕事上役に立ちうる」的な事で言えば、「成熟した日本市場において、既得権益層が強い。既得権益を今持っている人/組織には東大が多いから、そことコネクションを築く事で既得権益のおこぼれにあずかりやすい」 ということぐらいかと。
官僚で国家予算が使える、ブランドが売れている大企業で歴代東大閥が強い、等々、まだ今時点では多々あるでしょう。
 
これは危ない。
国債の問題、ITなどがもたらす生き方の大きな変化などなど、世の中は大きく変わります。
 
その中で、主体的に生きずに、不安一杯の中、既得権益の端っこに、両目両耳を塞いでしがみつくみたいなシチュエーションに陥りやすい訳です。そうして実力を養わないでいたならば、大きな変化で秩序が大きく変われば、沈み込んでしまう訳です。
それは若い人には不幸なシナリオでしょう。
 
僕は幸い、アメリカ、イギリス等のトップスクールの奴が多く、"Tokyo-U? ふぅーん"というような感じのBainにいたので、「ハーバードなんぼのもんじゃい」という反骨精神があったし、
その後ワタミや起業後の経験で、スゴイ優秀な人と学歴の非相関性を十分経験しました。
だから、多分自分の意識に(潜在意識含めて)東大という帰属意識なりプライドがよぎる事はありませんが、それは僥倖。
普通あんな一大受験イベントで勝ったみたいな強烈な意識はぬぐい去りがたいのではと思います。
でも、危ないからわすれてわすれて!と、いいたい。
 
では、なにか使い道はないのか?と。
 
あるとすれば、「いかにも系」のキャリアパス既得権益寄生仕事)を「手放した」時に、あるいは「下山」した時にスッキリ割り切れる、ということではないでしょうか?
「知足シフト」といった生き方の変化が、スムーズにできやすい、ということではないでしょうか?
 
どういうことかといえば、近々くるであろう「大変化」の後の「新秩序」は、多分、成功者の入れ替えに止まらず、そもそもの価値観の転換を伴うことだと思います。 拝金主義、物質主義から、知足、精神充実の方向へのシフトでしょう。
 
そこで、「誰が頭いいんだ合戦による順位付け」なんて意味ない! と既にちゃんと肚に落ちている人は、スムーズに順応できるはずです。こういう存在、先導する人の出現率が、若い東大の人に多い、というのはあり得る気がします。
「使い道」になっているのかわかりませんが(笑)
 
 
東大のひとからも、それ以外の方からも反感買うかもしれない内容なのかもしれませんが、率直に思うところを述べてみました。
若い東大の人、東大行こうか考えている人の為になればと思います。
 
ちなみに、誤解を避ける為に書くと、僕は東大が全部嫌いな訳でも、行ったことを後悔している訳でもなく、そこで出会えた仲間が好きで大切だ という一点のみにおいて、ありがたみを感じている者です。
新興国に留学してたらどうなってたかとか、もっと工学デザインとか実学をやってたらどうだったかとか、second thoughtはありますが。。。