企業の農業参入/新規就農者にチャンスはあるか 〜 狙い目のアングル

実りの秋、食欲の秋 ということで、農産物流通の最盛期を迎えている。
 
私もおかげさまで、独立して始めての商取引を完遂する事ができた。いろいろと皆さんにご迷惑をおかけし、冷や汗をかきまくりました。。。
 
ワタミファームにいた際から、独立して組み立てている今まで、自分ごととしていろいろなことを考えたし、
変な経歴のお陰で、企業の農業参入、農業生産法人、個人としての新規就農の人々を見て、いろいろな話をして来た。
また、「農業」にどうかかわるか検討している企業(大手財閥グループから新進気鋭の会社まで)ともいろいろな話をして来た。
 
まず、大前提の事実だけ書くと
・日本の農家の半数以上は65歳以上。10年20年目線での継続性こそ最大の問題
・大手企業(大手自動車会社、メーカー等)の参入事例は、基本的にほぼ「失敗」の歴史
・新規参入者も、2〜3年で挫折する人が多い(感覚的には「半分」とかのレベル)
・はやりの「農業法人」も、殆ど「もともとの農家さんの緩やかな集まり+宅配等の新規チャネルへの販売代行業」の域を出ない
・もうひとつはやりの「6次産業化」についても、成功事例はあまり見当たらず、幻想が多い感じがする
 
その中で、どうするか。
 
今の 「(高齢化した)農家さん → JA → 市場(卸のこと) → スーパーなど」 という構図から外れた人が、この「巨艦」に、経験も機械もない中でどう対抗するか。彼らができない、なにをやるか。
(注: 基本的に企業は新規参入等、農地を持っていない新たにはいる人はこの枠組みには入れない。なぜならJAの多くは、農地転用による土地成金農家のお金を運用する金融会社だから)

考えている事を全部書くとエラい長くなるので、「視点のアングル」だけ箇条書きにします。

その1 〜 「見た目より中身」で勝負
 
Oisixの不揃い野菜、がはやりましたが。今のJA、市場、スーパーのバイヤーは「見た目」を重視しすぎています。
「規格」は基本的に見た目に関する事で、味については、一部「糖度」があるぐらいで、特に重視されていません。
たとえばリンゴは、赤くするためにわざわざリンゴ周辺の葉っぱをとる「葉摘み」という作業をし、「玉まわし」をし、反射板を地面に置いたりします。こうして作業の約20%が、味と関係ない「見た目を均一に赤く」するために使われます。
トマト、桃なども、本当は完熟なものがおいしいのですが、「棚持ち」を良くするため、未熟で堅い状態で出荷されます。
「完熟して本当においしいけど、一部傷んでしまうもの」は、傷むからクレームが来る。だから「70点だけどクレームが来ない堅い未熟なもの」ばかり流通する訳です。
僕がやるニンニクにおいては、「真っ白なもの」が流通するので、そこに多大なコストがかけられ、その過程で急速乾燥などにより味の品質は劣化しています。
なので、僕は「泥付き」にこだわって、「磨く」手間をかけずにやって行きたいと思います。



その2 〜 「キャラ立ち農家のダイレクト感 〜 ”わたしが作っています”」
 
JA->卸 で失われるのはダイレクト感。
直販をやる、あるいはスーパーの売り場担当者と携帯一本で連絡をとって売り場作りを一緒にやる、というのがこれからのニュータイプ農家に求められる事。
そのためにはキャラ立ち、タグ付けが必要。
農家の台所は上手にやっていますが、その中に例えば「レンコン三兄弟」という3兄弟でレンコン作っている人がいます。
三兄弟である事と、レンコンの品質は冷静に考えればあまり関係はないのですが、なんとなく作っている人がわかるというのが大切かと。 私の「タグ」も募集しています。
 

その3 〜 ニッチ勝負
 
JAは基本的に地域で2〜3の産品を決めて、それを奨励し、それを売るための道具を揃えます。
例えば軽井沢では、キャベツとレタス。それ以外をつくるというと、「あ、そう。がんばってね。じゃあね」という話になります。
ということで、ニッチなものにJA、既存農家さんは手が出しにくく、新規参入が一気にメジャーになる勝機ありです。
ビーリーフ、各種ハーブ、チコリ、伝統野菜etc. ズッキーニなんかは、近年メジャー化したので、生産法人→スーパーなことが多いようです。
ぼくはコールラビや緑のナス(超ウマい)仕掛けたいと思っています。
 
 
その4 〜 場所を選べる事が最大の強み。 「販路 ー 生産物 ー 場所」をしっかり戦略的に

あたりまえの事ですが、この統合性がとても大切です。
普通の農家さん、JAは場所ありきです。 これを逆の順番で お客様 → 何を → どこで の順で考える。
今大手になっているところの一つの勝ちパターンは、
「通年レタスを必要な人(ハンバーガーやなど)にレタスを → 通年出せるように複数の場所でリレーして」
というものです。

倉渕のニンニクの場合は、兼業農家スタイルで農地にはべったりいないという前提条件のもと、
 
「居酒屋やスープ屋さんに ー バラしやすいように頭が割れた完熟有機ニンニクを ー 物流費かかる辺鄙な場所だが肥沃な土地が沢山余っている倉渕で」
で形を作ろうと考えています。
また、
「子供連れ団塊ジュニア世代に ー 変わった野菜や果物、鶏もいる体験農場を ー 軽井沢で」
もやりたいと思っています。
 
 
新規就農したい人ご存知の方、また、農業参入を検討する企業ご存知の方、 是非ご一報くださいませ!