「国防」 石破さん著 読書感想文

石破さんの 「国防」(新潮文庫) 読了。

実は平成17年著なので、全然up to dateではないが、国防という普段意識していない内容について、とてもわかりやすく興味深い内容だった。
 
<ポイント 印象に残った内容>
 
・ 石破さんは、自分の頭で考え、自分の言葉で物を書く珍しい政治家だなということ。軍事という、素人に難しい世界に、「政治家の責任」として素直に切り込んで行って行かれている姿勢に感銘を受けた。今後も「諸君!」とかは定期購読しようかなと思った。
 
・ 安全保障関連のマスコミの報道は、全く不勉強且つ恣意的に扇情的であり、聞くに値しないということ。
例えば
 
自衛隊イラク派遣については、石油の輸入の9割を中東に依存する日本が中東の安定化に積極的に取り組まない事は国際政治の舞台ではかなり恥ずかしい事で、ロシアの天然ガスパイプラインが韓国ではなく日本を通るかどうかなどと両睨みで国益にかなう判断を模索していた」
 
「2003年大騒ぎに成った北朝鮮日本海へのミサイル試射は、射程100キロの地対艦ミサイルであり、テポドンのような陸地に向けられるようなものではなく、プロから見たら“全く騒ぐ事のない日常茶飯事”だったのにマスコミが“北朝鮮が撃って来た”と騒いだ」

など、マスコミ経由とかなり違う内部の見方が書かれていました
 
・ 政治の世界で「軍事のプロ」である石破さんから見ても、日本の安全保障は「かなりリスキー」な状況であり、自衛隊防衛省(の特に中枢)は組織としてお粗末な状況。それを打開するのに必要なのは 
 
1)軍隊化すべく法制度を整える事(例えば自衛隊は敵前逃亡しても罪に問われないなど、軍隊としてのルールがない) 
 
2)実戦的統合的意思決定ができるリーダーの育成(今の自衛隊上層部は内向き官僚的で、戦うための機動的に連携する力がない)
 
・ 更に言えば、地に足の着いた考えができないマスコミ、国民世論は不安定であり、第二次大戦前のようなおかしい方向性に行くことも危惧しなければいけない状況にあるのではないか

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などなど、面白かったです。
 
この10年20年での変化(冷戦終結、技術革新などなど)はめざましく、今は安全保障の一大変革期だそうです。
 
私も、最近都内の人ごみを歩くとき、何となく感覚的に、無差別テロとかないかなと、不安がよぎります。
 
原発で取り返しのつかない失敗を日本はしてしまいました。
 
とにかく、安心して当たり前の生活ができる状況を、しっかりと作って行きたいものです。
 
私自身、少しでも都市から田舎への人の還流を促進する事で、食の安全保障含めて日本を強い国にしたいと思います。
 
また、自衛隊の現場の方が震災対応などで改めてすごいなと思っていたところなので、
この本を読んで、大組織において、現場をわからない上層部が自己の利益のために変な判断をするのを止めるための仕事 というのライフワークではやってみたいなと思いました。
 
長野県の事業仕分けぐらいから貢献できればいいのですが、、、
「ちゃんとした第三者を、組織が内向きに成らないために活かす」って、本当にプロセス難しいことですね。
 
最後とりとめもなくなりましたが、自衛隊の方お疲れさまです。 私も国防について国民として勉強します。