仕事選びについて1〜面接について、新卒でコンサル・外資金融を受けた経験より

学生と接することが近々増えそうなので、いくつか思うところエピソードを、簡潔に、シリーズで書いてみる。

今回は、「面接」についてのエピソード。
自分が実際面接受けた中で“良かった”と思うことと、ある「面接のプロ」から聞いたこと。この二つを書く。

メッセージとしては、
・ 素の自分を出しつつ、自分がわくわくすることが仕事にあるかちゃんと見つめること

・ 就職活動/転職活動の機会に自分を見つめて、人間性を磨くことのみが有効(場当たり対応はだめ)

というあたり。

僕は、新卒の就職活動をしているとき(1999年)、外資系の活動時期が早かった。コンサルと金融で活動をしていて、それぞれの面接スタイルは全く違っていた。
 
コンサルのほうは、「物事を論理だてて主張できますか」というところをぐいぐい突いてきた。
「論理的に整理する職人」という仕事なんだな、と理解できたし、それに必死になって対応しようとした自分がいた。
 
一方、金融のほうは、たくさん時間を使ったし、会う人会う人ナイスで、いい車乗っていて、提供される食事もおいしくて高そうで、オフィスビルもすばらしいビルだったけれど、僕の場合は、「なぜそれだけの収入・売り上げがあげられるのか?」ぴんとこなかった。
1兆円の債権を発行する手数料が、なぜ100億も200億もとれるのか?1億じゃだめなのか?結局よくわからなかった。
 
これは、「コンサルが金融よりいい」という話ではない。
「ピンとくるかどうか、そういう感覚が、自分にあった仕事を引き寄せる上でなにより大切だ」という話だ。

僕は金融にむいていなかったんだと思うし、いかなくてよかった。
 
面接では、とにかく、「自分がこの仕事で本当にわくわくできるか」これにしっかり耳を傾けることが大切だ。と改めて思う。
「1番人気」の企業は、だいたい20年後衰退している。戦後の繊維、その後の銀行がそうだ。
「人気のところへいけばいい」と腹で思っている人間が集まるし、そういう集団は結局弱いからだ。
 
実際、10年前外資金融は大変な人気だったが、リーマンショックが襲った。
とにかく、自分自身の感覚で、わくわくできること、価値が心の琴線に触れるもの、を探す必要がある。

とはいえ、背に腹は変えられない。就職しなければならない、というあせりもあるだろう。

これに対して、僕は、場当たり的な対応、会社のことを調べて、その会社がほしそうな人材に成りすまそうとすること、これは全く意味がないと思う。
 
まず、すぐ面接でばれるから面接に落ちるので意味がない。
 
そして、よしんばうまく成りすまして受かったとしても、自分を偽り続けなければその会社ではうまくいかないから、必ず無理が来る。
 
企業にはそれぞれ個性があるし、採用の人選はしっかりやる。自分の会社に合うDNAを持った人を選ぶノウハウがある。だから、素の自分をなるべくわかりやすく示して、「合うなら採って」というスタンス。採用されなかったら、「落ちた」のではなく、「自分にあわない会社だと教えてくれた」と思えばよい。
 
ただ、せっかくの機会。就職、転職の機会というのは、大きな成長、自己を知る機会だ。

僕の場合は、就職の前やったことで二つのことが役に立った。
ひとつは、とにかく大学のサークルで具体的に行動して、意味のある成果を出すこと(具体的には日本人学生が海外研修できる機会を作って自分も行った)、
もうひとつは、コンサルのコアスキルである論理的思考をcritical reasoningというアメリカの大学院試験の問題を解き続けることで磨いたこと。
この二つがよかった。もちろん大学時代いろいろやったけど、特にこの二つのことが時間当たりの効果が高かった。

また、その後の転職活動で大変印象に残った事があったので紹介させてほしい。
 
転職活動でお会いさせていただく機会のあった、あるプライベートエクイティーの大御所で、何百人も買収した企業の社長を選んで据えている方にお会いする機会があった。
私が興味があって、聞いてみたいことがあった。
 
「どうやって社長をお選びになっているのでしょうか?ご経験から、社長人選に成功するための、基準とかプロセスとか、是非教えてください。」
 
その人はおっしゃった、
 
「第一印象だね。」
 
言葉に落とせるほど簡単なものじゃない。どんな経験をしているかとか、面接で能力を試したりとか、いろいろやったけど、そういうのはあまり因果関係がなかった、由。
ぱっと見て、「この人、いい感じだな、魅力的だな」というのが最大だ。とのことでした。
 
このことは、ワタミですごして、改めて思います。心を清らかにして、エネルギーがあふれる、そんな習慣、心理状態を保てる人。例えば、廊下を歩いていて、誰も見ていないところでも、ごみが落ちていたら拾える人。 そういう人がリーダーとして成り立つのだと思います。
こういうことは、もちろん一朝一夕ではできないことではありますが、就職、転職は、人間性を一皮むく大きなチャンスだと思います。
 
ちなみに、僕が面接者の立場のとき、最終的に思ったのは、
「あなたがいままで達成したことの中で、もっとも誇れることを話してください。それがなぜ有意義なことで、なぜ、あなただからできたのか、教えてください」
という質問が、一番有効だと思って、常にこれを聞いていました。「考えていること」より「行動・結果」がすべてかと。